第35章 クリスマスとポリジュース薬
ジャスティンと首無しニックが襲われたことは、すぐに学校中に広まった。一度に二人が襲われたことで、これまでのように単なる不安感で収まらなくなり、パニック状態が起こっていた。特にゴーストのニックが襲われたことが、大きな原因になったとも言える。今年のクリスマスにホグワーツに残る予定だった生徒も、帰宅するためにホグワーツ特急の予約が殺到した。
「この調子じゃ、居残るのは僕たちだけになりそう」
「その方がいい。コソコソしてる奴らが帰ってくれて、むしろ清々するよ」
「それもそうだけど、マルフォイ、クラッブ、ゴイルーー名簿に名前がなかった、こりゃ楽しい休暇になるぞ」
四人は談話室の隅っこを陣取って話していた。蛇は相変わらずミラの首や肩周りに身を置き、程よく暖かい談話室でリラックスしているようだった。
「その蛇、どうにかならないのかい?」と、最初は嫌がっていたロンだったが、部屋や談話室でウロウロされては他の人が困るだろうということで、ミラはやもえず蛇に肩を貸していた。それが問題だったのか、フクロウのノクチュアがヤキモチを焼いて、最近顔を見せてくれないことにミラは頭を悩ませていた。
図書室でハッフルパフ生たちを蛇を使って驚かせたことで、ミラはますますハリーの次に継承者ではないかと疑われていたが、ミラはそんなことはどうでもよかった。しかし、ハリーは違った。ホグワーツの大半の生徒はハリーを継承者ではないかと思っている者が多く、廊下で出会えばみんながハリーを避けて通り、指をさしてシーっと言ったり、ヒソヒソ声になったり、ハリーはうんざりしていた。
それをいい事に、フレッドとジョージはわざわざハリーとミラの前に立って、廊下を行進すすようにして、「道を空けろ、邪悪な魔法使い、スリザリンの継承者と蛇姫が通るぞ----」と、先触れして通っていた。
「やめるんだ、二人とも。笑い事じゃないぞ」
と、パーシーは二人の悪ふざけを全く認めなかった。
「おい、パーシー、退けよ。ハリー様とミラ様は、早く行かねばならぬ」
と、フレッドが言った。
「そうだとも。牙を剥き出した召使いとお茶をお飲みになるので、『秘密の部屋』にお急ぎなのだ」
と、ジョージが嬉しそうに高笑いした。