第5章 組分け帽子
次々と1年生の名前が呼ばれる中、次は自分かもしれないと思うとミラは冷や汗をかいた。何より、ハリーより先に選ばれてしまえば、ハリーと同じ寮に行けないかもしれないと思うと余計だ。
どうか自分の名前はハリーの後にしてくださいと、強くマクゴナガル先生に念じた。
ハーマイオニーがグリフィンドールに選ばれると、ロンが「まじかよ」と呻いていた。ネビルもグリフィンドールに選ばれるのを見送ると、「マルフォイ、ドラコ!」と、マクゴナガル先生の声が聞こえて、ミラは視線を前に戻した。
ドラコは名前を呼ばれるとふんぞり返って前に進み出た。帽子はドラコの頭に触れるか触れないうちに「スリザリン!」と叫んだ。
満足げにスリザリンの席へ向かうドラコを見ていると、目があった。
『君も来るだろう?』
なんとなく、そんな意味合いが含まれている気がしたミラは、ドラコが仲間のクラッブやゴイルの居る席に着くのを見届ける前に視線を前に戻した。
残っている生徒は段々少なくなり、ミラもハリーもお互いを見ることさえしなかった。
そしてついに、呼ばれたのだ。
「ポッター、ハリー!」
ハリーは前に進んだ。すると、大広間にいるみんながハリーを見ようと首を伸ばしたり、声を潜めるように「あのハリー・ポッター?」と言う声が聞こえた。
ハリーは帽子を目ぶかに被り、椅子に座ったハリーを見つめた。
しかしハリーの組分けは、他の誰よりも長いと感じた。広間中がシーンとなり、みんなが緊張しているように思った。
「グリフィンドール!」
帽子が叫ぶと、割れるような歓声がグリフィンドールから上がった。フラフラとグリフィンドールのテーブルへ向かうハリーに、双子のウィーズリー兄弟は、「ポッターを取った! ポッターを取った!」と歓声を上げているのが聞こえた。
それから何人かの生徒が呼ばれると、ロンが次に呼ばれ、帽子はすぐに「グリフィンドール!」と叫んだ。帽子を取ると、ロンの安心し切った顔が少し滑稽に見えた。
「グローヴァー、ミラ!」
ミラはドキリとした。前に進み、帽子を持っているマクゴナガル先生を見つめた。帽子を被らされ、椅子に座っていると、帽子の低い声が耳の中で聞こえた。