第31章 狂ったブラッジャー
「もちろん、貴方の助けたい気持ちも分かります。でも、貴方がその力を使った後、どれだけ周りが心配したか、ご存知のはずです」
一瞬脳裏に、ハーマイオニーの悲しそうな顔が浮かんだ。
「周りを想うことも大切ですが、自分を大切にすることも忘れてはいけませんよ」
ミラは顔を伏せた。自分を大切にするとは、一体どう言うことなのだろうかと。マクゴナガル先生にこのことを言われるのはすでに二回目だが、ミラは未だに理解できないでいた。難しい顔をしているミラに、マクゴナガル先生が悲しい顔をしていたが、顔を伏せているせいで見逃していた。
マクゴナガル先生は席を立つと、ミラの前まで歩み寄ると、無防備な頭に優しく手を当てた。
「今は分からなくても、いつか貴方だけを愛してくれる方が現れます。それを見逃さないように、もっと自分を愛してあげることです」
ミラはますますわからなくなった。
「でも先生、私がもっと成長すれば、この力は扱えると言うことですか?」
今は体に見合わない魔力を持っているが、器が大きくなれば、魔力も扱える力が増えると言うことだ。
「そうとも言えます----ですが、力だけでは救えないものも、この世界にはいっぱいあります」
「先生は…」
ミラはその先が言えなかった、いや、怖くて聞けなかった。
「…気を付けます」
ただそれだけ言って、話しを終わらせた。談話室に戻るまで、ミラはこのことをみんなに話すべきか悩んだ。体や脳にダメージを負うと言うことは、命を削っていると言うことだ。ハリーやハーマイオニーはまず「絶対に使っちゃダメだ!」と言いそうだし、ロンもなんやかんや心配してくれていることもわかっていた。
そして、ドラコの言っていたことは的中した。幸い、先生以外はこの力がなんなのかまだわかっていないことだ。ハリーたちに下手に気を使われても、ミラは全然嬉しくない。今は誰にも言うべきではないと、ミラは胸の内にそのことを潜めた。
談話室では、ハリーのいない宴が行われていたが、誰もがかぼちゃジュースを掲げて「ハリーに乾杯!」と叫んで騒いでいた。ロンとハーマイオニーもその中にいるのを見つけ、ミラもまだ誰も手につけていないかぼちゃジュースを手に取って、仲間に加わった。