• テキストサイズ

【HP】怪鳥の子

第31章 狂ったブラッジャー


 雨が激しくなる中、マダム・フーチのホイッスルで、ハリーたちはまた空に戻っていくと、それが試合再開されたのだと理解した。しかし、ハリーの側にフレッドとジョージもいない。ハリーは一人で高く、高く空へ昇って行った。ブラッジャーも再びハリーを狙って、その後を追っていった。

 ビーターの一人も付けず、ハリーは空の上で動き回っていた。

 「ウッドは正気か!?」と、ロンが怒った声で叫んだ。しかし、これ以上スリザリンに点を入れられるわけにもいかなかった。最新鋭の箒のおかげで、得点に差が開いているのは明らかだった。ハリーがたとえスニッチを手に入れても、百五十点以上の点をスリザリンが取っていれば、グリフィンドールに勝機はない。

(ハリー、負けるな!)

 ミラは今にも飛び出しそうな体を押さえつけて、ハリーを見守っていたが、手には杖が強く握り締められていた。いつでもブラッジャーを壊すためだ。その瞬間を逃すまいと、雨が打ちつける中、しっかりとハリーを見ていた。


 またしてもハリーにドラコが近付き、何か話している様子が見えると、ついにブラッジャーがハリーの肘を強打した。

「ハリー!」

 ミラは声をあげた。ブラッジャーを食らったハリーは横へ飛ばされると、右腕はダラリとぶら下げて、片足の膝だけで箒に引っかかっている状態だった。またブラッジャーがハリー目掛けて突進してくると、ハリーはそれをかわしてドラコの方へ急降下して行った。

 ハリーは折れていない方の手で何かを掴むと、地面にまっしぐらに突っ込んでいった。ハリーは泥の中におち、箒から転がり落ちた。


「ハリーがスニッチを取った!!!グリフィンドールが百五十点獲得しました!グリフィンドールの勝ちです!!!」

 リー・ジョーダンの声が聞こえると、ミラはロンとネビルに自分の足を持ち上げるように言った。

「早く!」
「わかってるって!」

 「せーのっ!」と、二人に持ち上げられたミラは、スタジアムのフェンスを高々と飛び越えて、グランドに侵入した。地面で横渡って動かないハリーに向かって、全力で駆けつけた。雨で視界が悪い中、ブラッジャーがハリーを狙っているのが見え、ミラは杖をブラッジャーに向けて呪文と解き放った。

「レダクト!!」
/ 677ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp