第31章 狂ったブラッジャー
ビーターのジョージが棍棒を手に、ブラッジャーからハリーを守るように打ち返すが、ブラッジャーはブーメランのように曲線を描いてハリーの元へ帰ってきた。ハリーは猛スピードでフィールドの反対側に疾走していった。
反対側に行っても、同じブラッジャーがハリーを狙い続けた。反対側にはビーターのフレッドがいたが、いくら打ち返してもブラッジャーの狙いは変わらない。フレッドとジョージは、ハリーを守るように両側にくっついて打ち返した。
しかし、スリザリンがその間に点数をどんどん稼ぐようにゴールを決めていった。
「あのブラッジャー、ハリーばっかり狙ってるぞ!」
「反則だ!!!」
ディーンとトーマスが叫んだ。
「一人の選手ばかりに狙うなんてありえないぜ。スリザリンが細工したに違いない!」
「せめてこっちに来てくれたら魔法で壊せるのに」
「ダメよ、ミラ!選手に当たるかもしれないわ!」
「でもそうしないとハリーが!」
ミラは歯痒い気持ちでハリーたちを見上げた。また去年のように見ているだけしかできないのかとギリリと歯を噛み締めた。
「誰かブラッジャーを操ってるのか?」
ミラ、ハーマイオニー、ロンはあちこちに目を走らせたが、誰も呪文を唱えているような素振りもなかった。やはりブラッジャーが細工されたのだと、ロンが困ったように言った。
「スリザリン、リードです。六〇対〇」と、リー・ジョーダンの解説する声が聞こえた。
ピーーーと、マダム・フーチのホイッスルが鳴り響くと、ハリーたいが地面に急降下した。ウッドがタイムアウトを取り、グリフィンドールチームが集まって作戦を練り直している様子が見えた。試合を続けるのか、それともブラッジャーが不正されていると申告して、試合を中止にするのか----ミラたちもハラハラしながら見守った。