第31章 狂ったブラッジャー
次の日の朝、ハリーたちクィディッチチームは、すでに大広間にて、みんな固まって座っていた。みんな緊張しているのか、口数も少なく、朝食を食べるスピードも、どこかいつもより遅い。ちょっと声を掛けづらいなと、ミラ、ロン、ハーマイオニーは控えめな挨拶をして、ハリーの近くに座った。
十一時が近付くと、そろそろクィディッチ競技場へ三人で向かった。途中、更衣室に入りそうなハリーを見つけると、慌てて駆けつけた。
「幸運を祈るよ、ハリー」
「ありがとう、みんな」
なんとかハリーに一言声をかけると、三人は急いでグリフィンドール生たち固まっているところへ向かった。同級生のネビル、ディーン、シェーマス、ラベンダー、パーバティたちが一緒に一番前の場所を陣取っていたのをを見つけると、その中に加わった。
競技場をよく見ると、ほとんどの席が埋まっていた。競技場に来るまでに、レイブンクロー生もハッフルパフ生も、スリザリンが負けるところを見たいとワクワクした様子で話していた。今日がクィディッチ初日と言うこともあるが、スリザリンチームが箒を一新したことが原因である。
選手たちがグランドに入場すると、競技場は割れんばかりの声援でいっぱいになった。その中にブーイングや野次も混じっていたが、ほとんどがグリフィンドールの声援だった。
マダム・フーチが開始のホイッスルを鳴らすと、十四人の選手たちが鉛色の空に高々と飛び上がった。その中で誰よりも高く舞い上がり、スニッチを探しているのがハリーだと、ミラたちはハラハラしながらハリーを見守った。
そこへプラチナブロンドの髪がよく映える、緑色のスリザリンチームのユニフォームが向かっていくのも見え、ミラはそれがすぐにドラコだと気が付いた。ドラコはハリーのすぐ下を飛びながら、まるで箒のスピードを見せつけているように見えた。
(何やってんだ、あの馬鹿)
ミラは顔には出さないものの、ハリーにまとわりついているドラコにイライラした。しかし、そんなことはすぐにどうでもよくなるくらい、真っ黒のブラッジャーがハリーに狙いを定めたように狙われていた。