第31章 狂ったブラッジャー
ハーマイオニーはロンを無視して材料を読み上げた。いくつかの材料は、生徒用の材料棚から取れること。しかし、バイコーン(二角獣)のツノの粉末、毒ツルヘビの皮の千切りは、今の四人には手に入れるにはかなり困難だ。
さらに、返信したい相手の一部とハーマイオニーが読み上げると、ロンが鋭く聞き返した。
「何だって?僕にクラッブの足の爪を飲めって言うのかい?死んでもお断りだよ」
「ロン、足の爪って…もっと他にあるだろう」
ミラは嫌そうな顔でロンを見た。
「でも、それはまだ心配する必要はないわ。最後に入れればいいんだから----」
ロンは絶句してハリーの方を見た。しかし、ハリーは別の心配をしていた。
「ハーマイオニー、どんなに色々盗まなきゃならないか、わかってる?毒ツルヘビの皮の千切りとか、スネイプの個人用保管倉庫に忍び込まなきゃ無理だよ----うまくいかないような気がする…」
バタン、とハーマイオニーが音を立てて本を閉じた。
「そう、じゃあ三人とも怖気付いてやめるって言うなら結構よ」
「私、否定的なこと言ってないけど」
不満の声をあげたミラだったが、どこかワクワクしているようなハーマイオニーには聞こえなかったようだ。
「私は規則を破りたくない、わかってるでしょう。でも、マグル生まれの者を脅迫するなんて、ややこしい魔法薬を密造することより、ずーっと悪いことだと思うの。でも、みんながマルフォイがやってるのかどうか知りたくないって言うなら、これから真っ直ぐマダム・ピンスのところへ行って、この本を返してくるわ」
ミラはピュウっと口笛を吹いた。
「僕たちに規則を破れって、君が説教する日が来るとは思わなかったぜ」
「これで学年の最優秀生とか、バグか何かだよ、ほんと」
「わかった、やるよ。だけど、足の爪だけは勘弁してくれ」
ハーマイオニーが機嫌を直してまた本を開いた。
そして『ポリジュース薬』が出来上がるのに一ヶ月も時間がかかることがわかった。