第4章 9と3/4番線
「へえ、僕たちとやるつもりかい?」
と、マルフォイはせせら笑った。
「出て行く気分じゃないな。君たちもそうだろう?僕たち、自分の食べ物は全部食べちゃったし、ここにはまだ有るようだし…君は」
そこでやっと、ドラコは窓際で頬杖をついてこちらを見ているミラに気が付いた。
ゴイルはロンの傍にあった蛙チョコレートに手を伸ばした。ロンが跳び掛かろうとすると、ゴイルに触るか触らないうちに、ゴイルが恐ろしい悲鳴が上がった。
ゴイルの指には、ロンのネズミ、スキャバーズが鋭い歯を立てて噛み付いていた。あまりの痛さに、ゴイルは喚き散らしながらスキャバーズを振り回したせいで、指から離れたスキャバーズはコンパートメントの奥の窓に当たり、ミラの膝の上にボトリと落ちた。
「ヒッ!」
ミラは自分の上に落ちてきたスキャバーズに硬直し、すぐにでも払い落としたい衝動に駆られた。が、すぐにロンが拾い上げてくれたおかげでホッとしたが、今履いているズボンは絶対に洗おうとミラは決めた。
自分がスキャバーズに驚いている間にか、ドラコたちはいなくなっていた。その代わり、またあのハーマイオニーがやってきていて、「早く着替えたほうがいい」と言っていた。先にハリーたちが着替え、その後でハリー、ロンと交代した。
・・・・・・
汽車がスピードを落とし、ついた場所は暗いプラットフォームだった。
「イッチ年生!イッチ年生はこっち!」
外に出ると、夜の冷たい空気に身震いしつつも、懐かしい声が聞こえてきた。ハグリットだった。滑ったり、つまずいたり、険しくて狭い道を、皆んなはハグリッドに続いて降りて行った。
細い道が急に開けると、大きな黒い湖のほとりに出た。向こう岸に高い山が聳え、その天辺に壮大な城が見えた。大小さまざまな塔が並び立ち、窓が星空に浮かび上がってキラキラと輝いていた。
そこから岸辺に繋がれた小さなボートがいくつもあった。そこへ四人ずつ乗り込むことになった。ハリー、ミラ、ロンはボートに乗り、ワクワクした様子でホグワーツを見ていた。
たまたま岸辺の方を振り返ったミラは、まだ船に乗っていない泣く虫の男の子、栗毛の女の子がまだ残っていた。