第4章 9と3/4番線
話題はヒキガエルから、ロンのスキャバーズに変わった。スキャバーズはロンの膝の上で眠り続けていた。ミラは不潔そうなロンのネズミを嫌そうにみた。
「昨日少しは面白くしてやろうと思って、黄色に変えようとしたんだ。でも呪文が効かなくて…やって見せるから、見てて」
ロンはくたびれたような杖を取り出した。杖を振り上げた途端、またコンパートメントの扉が開きました。
さっき蛙に逃げられた男の子と、すでにホグワーツ校用のローブに着替えている栗色のふわふわした髪の女の子とやってきた。
「誰かヒキガエルを見なかった?ネビルのが居なくなったの」
「見なかったって、さっきそう言ったよ」
「あら、魔法をかけるの?それじゃ、見せてもらうわ」
女の子はロンの向かいの席に座った。なんとなく威張った感じの言い方に、ミラはめんどくさそうな顔した。しかしロンの魔法が気になり、成り行きを見守ることにした。
ロンは面食らいながらも、咳払いを一つした。
「サンシャイン、デイジー、バター、メロウ。デブで間抜けなねずみを黄色に変えよ」
ロンが杖を振ると、ネズミは相変わらず灰色だった。
「その呪文、間違ってるんじゃないの?」
と、女の子が言いました。女の子は簡単な魔法なら使えたこと、教科書を全部暗記したことを早口で行った。
「わたし、ハーマイオニー・グレンジャー。ところで、あなた達は?」
「僕、ロン・ウィーズリー」
「…ミラ・グローヴァー」
「ハリー・ポッター」
「本当に?」
ハーマイオニーはハリーの名前を聞くと、ハリーは近代魔法史などの本に出ているとのことだった。他にもハーマイオニーは寮のことや、もうすぐ学校に着くから着替えたほうがいいと言いたいことだけ言うと、男の子を引き連れて出て行った。
「どの寮でもいいけど、あの子の居ないところがいいな」
「わたしもロンの意見に賛成」
自分の意見に賛成してくれたミラに、ロンは初めてミラをマジマジと見た。
「魔法はこれから習うんだし、気にしない方がいいよ」
「あ、うん…」
「まぁロンはわたしとも居たくないかもだけど」
ビクッとロンの方が跳ねるのをめざとく見ていたミラは、ニヤリと笑ってみせた。