第4章 9と3/4番線
それに兄からのお古しかもらえないと憤っていた。ウィーズリー家は家計に厳しいと言うことがわかり、ロンは二人から目を逸らした。
しかしハリーとミラは今までの自分たちの待遇を話すと、少し元気になったようだった。
汽車はどんどんロンドンから離れ、12時半ごろになると車内販売のおばさんがやってきた。ハリーとミラは朝食がまだだったので、席から勢いよく立ち上がった。
ロンは耳を赤らめて、自分はサンドイッチがあるからと遠慮した。
二人はワクワクしたように車内販売のものを見ると、今まで見たことのないような、不思議なものばかりが売られていた。ハリーは一つも買い損ねたくないと思ったのか、全部の売られているものを少しずつ買った。ミラはハリーよりは少ないが、気になったお菓子を少し買った。
ロンがハリーとミラの頼んだものをジッと見ていると、ハリーは自分のパイと、ロンのサンドイッチと交換していた。なのにパサパサのサンドイッチは二人の少年の胃袋に収まることなく、ミラは呆れて一切れ食べた。
・・・・・
「これ何だい?」
ハリーが興味を示したのは、蛙チョコレートだった。
「まさか、本物の蛙じゃないよね?」
「まさか」
ハリーはそれを開けると、中にはチョコレートの蛙が飛び出し、窓に張り付いた。ハリーとミラは飛び出していった蛙を見ていると、蛙はさっさと窓の空いている隙間から飛び出して行った。
「…逃げた」
「そりゃそうだよ。あいつらすぐ逃げるから開けたらすぐ捕まえた方がいい」
わざわざこんなものに魔法をかける必要があるのか、とミラが疑問に思った。ハリーは中に入っていた有名な魔法使いと魔女のカードの一つに夢中だった。ダンブルドアを引いたらしく、ミラも気になってハリーに見せてもらった。
三人は次に百味ビーンズを楽しんでいると、コンパートメントのドアがノックされると、泣きべそを描いた丸顔の男の子が中に入ってきた。
「ごめんね、僕のヒキガエルを見かけなかった?」
誰も見かけなかったというと、男の子はさらにメソメソと泣き出した。すかさずハリーが「きっと見つかるよ!」と声をかけると、男の子は「うん」と言って出て行った。