第26章 汚れた血
そればかりか、一匹のピクシーに、ロックハート先生の杖を奪われ、窓の外に投げられてしまった。ロックハート先生は息を呑み、自分の机の下に潜り込んだ。
「ネビル!」
その直後、シャンデリアに吊るされたネビルが、シャンデリアごと、天井から落ちてきた。ミラは慌てて杖をシャンデリアとネビルに向けて叫んだ。
「チッ…イモビラス!!!」
ミラの縛り術でシャンデリアとネビルは、その場に宙に不自然に浮いていた。授業終了の鐘が鳴り、生徒のみんなが出口に一斉に押し寄せた。
ミラだけは出口には向かわず、宙に浮いているネビルの元へ駆け寄った。途中飛んでいるピクシーたちを腕で払いながら、なんとかネビルの元へ辿り着くと、シャンデリアはそのままに、ネビルだけを床に下ろした。
「ありがとう、ミラ!」
ネビルの目は潤んでいた。よっぽど怖かったか、少し震えているようにも見えた。
「ほら、早く荷物持って行きなよ」
「う、うん!」
ネビルのと思われるカバンをミラは引っ掴むと、それをネビルに押し付けて、出口に向かうように即足した。ピクシーはよっぽどネビルを気に入ったのか、ネビルに向かってくるピクシーを、ミラは後ろから呪文を当てて撃ち落とした。
なんとかネビルを人で溢れている出口にねじ込むと、ミラを待っていたハリーたちが駆け寄ってきた。