第26章 汚れた血
ロックハート先生は、シューマスに向かって’嗜めるように指を振った。
ピクシーは奇抜な青い色をした、20センチくらいの大きさの生き物だった。キーキーと甲高い声ととんがった顔が印象的だ。
「さあ、それでは」と、ロックハート先生が声を張り上げた。
「君たちがピクシーをどう扱うか見てみましょう!」
そう言うや否や、ロックハート先生はピクシーのカゴの扉を開け放った。クラスは大混乱になった。放たれたピクシーたちが四方八方に飛び散った。
二匹のピクシーが、ネビルの両耳を引っ張り、空中に釣り上げていたし、数匹が窓ガラスを突き破って外に飛び出したせいで、窓ガラスの破片が、雨のように生徒に降り注いだ。
教室に残ったピクシー達も、暴走するサイよりも酷いものだった。
インクを掴んだピクシーは、教室中にインクを振り撒き、本やノートは引き裂かれ、奪った本やカバンは、外に放り投げられたりなど。数分後には、ネビルは天井のシャンデリアにぶら下がっていたし、生徒の半分は机の下に避難していた。
その中で、ミラだけが活き活きとピクシーに呪文をぶつけていた。
「ヴェーミカラス!」
杖から黄色い光が、ピクシーに直撃すると、ピクシーはその場で体が縮みながらグルグルと回転し、ボトリ、と教室の床にミミズとなって落ちた。すでに何匹かのミミズが床にはっていた。
「さあ、さあ。捕まえなさい。捕まえるのです。たかがピクシーでしょう」
ロックハート先生が叫んだ。腕幕をして、杖を振り上げると、大声で呪文を唱えた。
「ペスキピクシ・ペステルノミ!(ピクシー虫よ去れ!)」
しかし、なんの効果もなかった。