第25章 友のため
翌朝、『ヴァンパイアと船旅』の本を抱えたハーマイオニーと一緒に、大広間へ向かった。ハーマイオニーはまだ昨日のことが許せないらしく、少しぎこちない様子だった。
しかし、そんなことを気にするミラではなかった。時間が経てば自然と元に戻っていると分かっているからだ。
大広間に着くと、二人はグリフィンドール寮のテーブルで空いている席を見つけ、そこに腰掛けた。テーブルには牛乳入りのオートミールの深皿、ニシンの燻製の皿、山のようなトースト、卵とベーコンが並べられていた。
ハーマイオニーが朝食を取り終わると、持ってきた本を立てかけて、器用に食べながら読み始めた。ミラはつまらなさそうに、ハーマイオニーが読んでいる本に目を向けた。
「それ、おもしろい?」
「ええ、とっても面白いわ。早くロックハート先生の授業を受けてみたい」
「…」
どこか夢を見ているような、頭がふわふわしているようなハーマイオニーの様子に、ミラは顔を引き攣らせながら、朝食に戻った。
そこへ、遅れてやってきたハリーとロンが来た。
「おはよう」
ミラが先に声をかけると、ハリーは少し気まずそうにハーマイオニーの方を見ながらも挨拶をした。「おはよう」と、ハーマイオニーはぎこちなく返した。
ミラの隣にmハリーとロンが座った。
「おはよう、みんな」
向かいの席にネビルが腰掛けると、四人に挨拶した。ハーマイオニーと違って、嬉しそうな顔をしている。
「そろそろフクロウ便の時間だ。ばあちゃんが僕の忘れた物を送ってくれると思うよ」
ネビルの忘れん坊は、新学期になっても直っていないようだ。
朝食に手をつけ始めた頃、百羽を超えるフクロウたちが押し寄せ、天井の上で旋回して、届け先の人物を探していた。その中から、何も持っていないノクチュアがスイーっと優雅にミラに向かって飛んできた。
ミラは腕を出すと、ノクチュアは腕に留まり、嘴をカチカチ鳴らして餌をねだった。
「すっかりトーストの味を覚えちゃったみたい」
ミラは山ほどあるトーストの皿から一枚手に取ると、食べやすい大きさにちぎってノクチュアの嘴に近付けた。