第24章 車通学
最後の夜は、モリーが魔法で豪華な夕飯を作ってくれた。ミラとハリーの好物も、もちろんその中にあり、最後はよだれの出そうな糖蜜のケーキが出てきた。
双子のフレッドとジョージは、その夜の締めくくりに花火を台所の至る所に仕掛け、赤や青の星が台所の天井や壁のあいだを跳ねるように飛び回っていた。
こんな楽しい夜が続けばいいのに----と、ミラはハリーは目があった時、きっとハリーもそう思っているとわかった。
最後は暖かいココアをたっぷり飲み、みんなは就寝した。
翌朝、ウィーズリー家の朝は騒がしかった。鶏の声で、みんな早起きしたはずが、モリーは朝からもっと羽ペンや靴下があったはずだと探し回ってご機嫌斜めだった。
ミラ以外の子供達は、半分パジャマのままトーストを片手に、階段のあちこちでぶつかっているのを、優雅にトーストを食べながら見ていた。
もともと荷物が少ないおかげで、昨夜のうちに全ての荷物はまとめてあったし、孤児院生活の経験で、一番忙しい時間帯は避けるべきだとわかっていた。同室だったジニーも、ミラに習って荷物は全てまとめてあったが、何故か忙しなくしている。
トーストを食べ終わると、ミラは静かにみんなの食べ終わったトーストのお皿を洗面台に持っていき、ご機嫌斜めなモリーの手伝いを始めた。
アーサーが小型のフォード・アングリアに荷物を詰め込むのを、ハリーと手伝った。どう見ても九人とそのペットたちが収まる大きさの車ではないのだが、「モリーには内緒だよ?」と、アーサーが二人にこっそり車に魔法をかけているところを見せてくれた。
「魔法って、こんなこともできるんだ」
「今度ハーマイオニーに教えてあげようよ」
やっとみんなが車に乗り込むと、後ろの席はミラ、ハリー、ロン、フレッド、ジョージ、そしてパーシーが心地よく座っていた。
「マグルって、私たちが考えているより、ずーっといろんなことを知っているのね。そう思わないこと?」
と、モリーが言っているのを聞いたミラとハリーは、笑いを堪えるのに必死だった。前の助手席にいるモリーとジニーの席も、アーサーの魔法で公園のベンチのような形に引き伸ばされていた。