第4章 9と3/4番線
その日の夜、ハリーから手紙が届いた。ミラは窓を開け、ハリーのフクロウ、ヘドウィグを中に招き入れた。ヘドウィグは持ってきた手紙をポトリと落とすと、ノクチュアの籠の上に止まった。
ミラは手紙を早速開けて読むと、なんとあのバーノンがハリーと一緒にロンドンに送ってくれるとの事だった。これにはミラも驚き、手紙の続きを読むと『おじさんたちは僕たちのことが怖いみたい』とも書いてあり、ミラはふふっと笑った。
急いで返事を書き、返信を待っているヘドウィグに持たせると、ヘドウィグは優雅に夜の空に消えた。外に出たそうなノクチュアの籠を開け、ミラはノクチュアを外に出してあげた。
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そして九月一日、ミラはいつもより早く起き、支給されたトランクの荷物の確認をした。元々物が少ないせいですぐに終わってしまったのだが。
ダーズリー家の車の中は、誰一人口を開こうとするものはいなかった。後部座席はミラ、ハリー、ダドリーの順に座っている。ダドリーは絶対にミラの隣には座りたくない!と首がもげるくらい振っていたのを、ハリーとミラは一生忘れないだろう。
ミラは車に乗る前に、一応だがバーノンとペチュニアにお礼を述べた。無視されたが、何も言わないよりかはマシだろうと思った。
しかし駅に着いた時、9と3/4番線というものは存在せず、バーノンはニンマリ笑って「新学期をせいぜい楽しめよ」と言って、さっさと立ち去ってしまった。ミラは何となく何故送ってくれたのか謎が解けた気がした。自分とハリーが困っている姿を見てスッキリしたかったのだ。
そこから二人は駅員のマグルにホグワーツ行きの電車がないか尋ねたりしたが、駅員は悪戯だと思ったのか、見放されてしまった。
「どうしよう、ミラ…」
「まだ発車の時間じゃないからきっと大丈夫だよ」
青い顔をしたハリーをなんとか元気付けようとミラは明るく振る舞ってみせた。本当は自分も不安で押しつぶされそうだったが、バーノンのあの意地悪な笑みを思い出すと、意地でも見つけて呪いをいっぱい覚えて帰ってきてやろうと思っていた。
その時、ハリーとミラの後ろを一団が通り過ぎて、二人の耳に『マグル』という言葉が飛び込んで来た。