第4章 9と3/4番線
あれからハリーとミラはいつもの公園でよく落ち合った。ハリーの家も、ミラの孤児院も、二人に仕事を押し付けなくなったおかげで、だいぶ二人の時間が取れた。
ハリーのフクロウの名前を魔法史から『ヘドウィグ』、ミラのフクロウの名前はフクロウ座から『ノクチュア』。二人は時々夜に手紙を出したりしていた。
そして九月一日がもうすぐ迫ろうとしていた時、ハリーはミラがどうやってロンドンに行くのか尋ねた。自分はバーノンおじさんが運転してくれるが、ミラも一緒に乗せてくれるかはわからなかった。
「僕聞いてあげるよ、あんまり期待はできないけど」
「ありがとう、ハリー。いざとなったらバスやタクシーがあるからなんとかなるよ!」
「うーん」
ハリーはどこか歯痒い思いだった。せっかく近くに住んでいるのに、ただの送り迎えもできないことが、ハリーを情けなくさせた。ミラは「大丈夫、気にしないで」とハリーの背中を撫でた。ハリーの気遣いに、ミラは頬を緩ませた。
「今夜フクロウを飛ばすよ」
「うん、わかった」
そして二人は日が落ちる少し前に帰路についた。