第20章 隠れ穴にご招待
数日後、ミラはまたなんとか時間を作ってハリーの様子を伺いに行った。なんとなく心配で見に行くと、ミラは目を疑う光景を目にした。
ハリーの部屋の窓に、鉄格子がはめられていた。昨日まではなかったはずの鉄格子があり、ミラは口を手で覆った。何かあったのだとすぐに気が付いたが、自分ではどうしようもできないことを、一番わかっていた。
(警察を呼んだ方が…でもあの伯父さんに言いくるめられて、もっとハリーが酷い扱いを受けるかもしれない…魔法を…魔法を使うしか…)
心配でハリーの部屋を見ていると、鉄格子の奥に人影を見つけた。きっとハリーだと確信したミラは、気が付いてほしいと「ハリー!」と叫んで、手を大きく振ってみせた。
声に気が付いたハリーが、ミラを見つけると、弱々しくだが笑顔を見せてくれた。
「ハリー!大丈夫!?」
心臓の周りにベルトが巻き付いて、思いっきり縛られているような、胸が締め付けられた。ミラは迷わず玄関に向かった。思いっきりドアを叩き、中にいるであろう人物に声を上げた。
「開けろ!この外道!ハリーを解放して!!!」
ドンドンドン!と、力の限り玄関のドアを叩いていると、パッとドアが空いた。中から出てきたのは、顔を赤らめてカンカンに怒っているハリーの伯父だった。大きくでっぷりとした体は、完全に入り口を塞いでいて、とてもじゃないが隙間を縫って抜けることはできないだろう。
「やかましいぞ!!近所迷惑だ!やめろこのイカれ娘!!」
「イカれているのはどっち!?ハリーは大丈夫なの?どいて!ハリーに会わして!!!」
「帰れ!!ハリーには会わせんぞ!!!」
ミラはなんとかバーノン伯父さんを押して中に入ろうと、体当たりした。しかし、痩せ細ったミラの体当たりなど、バーノン伯父さんは簡単に肩を掴むと、後ろへ押し退けた。
「お前には関係のないことだ!部外者は帰ってくれ!!」
地面に転がったミラは、フーフー息をこぼしながら、強くバーノン伯父さんを睨みつけた。