第3章 ダイアゴン横丁
「黒壇とドラゴンの心臓の琴線、24cm、ややしなやか…己の信念を貫き通す方がこの杖に選ばれやすい。故に孤立することもあるかもしれません」
「…いえ、気に入りました、この杖」
ミラは自分の手にある真っ黒な杖を見て、どこかフワフワした気持ちだった。不思議と手に馴染む感覚に、もう一振りしたくなる気持ちをグッと抑えた。孤独とは自分にピッタリだとミラは思った。
・・・・・
それから帰りはミラはハリーに質問攻めだった。ハリーが魔法界では『生き残った男の子』としてすごく有名で、その理由が『名前を言ってはいけない人』___ヴォルデモートは闇の帝王であり、11年前に魔法界を恐怖で溢れさせた人物だということ。
「わーぉ、ハリーがそんな有名人だったんて」
「僕も実感がないよ…昨日聞いたばっかりなんだ」
「だから漏れ鍋で囲まれてたんだ」
「学校でもああなるのは嫌だよ…それに僕魔法の一つもわからないのに」
「それは私も同じ。今日帰ってから本を読むのが楽しみ!」
「フクロウにも名前をつけなくちゃ!」
「そうだった」
二人の目はキラキラと輝いていた。ハグリットは仲がいい二人を優しい目で見ていた。そんな二人に、ハグリットは封筒を渡してくれた。
中にはホグワーツ行きの切符が2枚あった。
「ありがとうハグリット!」
「今日はすごく楽しかった!それにフクロウも!」
「何かあったらフクロウに手紙を持たせて俺に寄越しな。じゃあな、ハリー、ミラ。またすぐ会おう」
ハリーとミラは、ハグリッドの姿が見えなくなるまで見ていたいと思っていたが、瞬きをした途端、ハグリッドの姿は消えてしまった___。