第3章 ダイアゴン横丁
そして最後に『オリバンダーの店』に寄った。ハリーとミラが1番欲しかった物だけに、二人はお店に入るまでご機嫌だった。オリバンダーのお店は古く見窄らしく、中も埃がたくさんあり、ミラは花が少しムズムズした。
オリバンダーはハリーが来るの心待ちにしていた様子だった。
そして傷のことに触れるとミラは首を傾げた。店内が何やら暗い雰囲気に包まれ、ミラはハリーにコソッと耳打ちした。
「何、ハリー、この雰囲気。その傷って何か訳あり?」
「うん、そうなんだ…あとで教えるよ」
巻択を持ってきたオリバンダーが、ハリーとミラの寸法を取り、杖の説明をしてくれた。不死鳥の尾羽、ユニコーンのたてがみ、ドラゴンの心臓の琴線。二人はこっそり目だけを合わせ、お互い理解していないことを目で悟った。
「では、ポッターさん。これをお試しください」
それからハリーの杖選びは難航した。オリバンダーが持ってくる杖はことごとくハリーに合わず、椅子にはどんどん杖の山ができた。しかしオリバンダーはどこか嬉しそうな、楽しそうな表情で新しい杖を持ってきた。
そして、柊と不死鳥の尾羽の杖をハリーに渡すと、杖の先から赤と金色の火花がまるで花火のように流れ出し、光りの玉が踊りながら壁に反射しました。
どうやら杖が決まったようだが、オリバンダーはその杖に使われた不死鳥の兄弟羽が、ハリーに傷をつけたとのことだ。『名前を言ってはいけないあの人』、ハリーの傷、ミラはますますハリーに話を聞かなければと思った。
「さぁ、次はあなたの番です」
やっと自分の番が回ってきたミラは、ソワソワしつつもハリーと場所を変わった。オリバンダーに最初の杖を渡され、それを振ろうとした瞬間、ハリーと同じように取り上げられた。
「うーむ、これじゃない」「ダメだ、合わない」と、オリバンダーはまた店内を忙しく行ったり来たりした。
そして10本近く杖を取り替えた時、渡された杖から指先が暖かく感じられ、ミラは杖をマジマジと見た。軽く振って見せると、パチパチと金と銀の光が杖先からはじけだし、真上に飛んで小さな花火を打ち上げた。