第18章 夏の知らせ
ハリーのところのバーノン伯父さんだった。相変わらず赤ら顔で、相変わらず口ヒゲを生やし、相変わらずハリーやミラのことを普通でないと腹を立てているような様子で見ていた。そもそも普通の人で溢れている駅で、ふくろうの鳥籠をぶら下けているなんて、どんな神経をしているんだ、と怒っているのかもしれない。
その後ろにはペチュニア伯母さんとダドリーが、ハリー達の姿を見るのさえも恐ろしいという様子で立っていた。特にダドリーはミラの姿を見ると、真っ青な顔をしていて伯母さんの後ろに隠れた。悪い顔をしてダドリーを見ているミラは、スリザリン生に近いものを感じさせた。
「何を考えてるんだい?」と、ロンがこっそり聞いた。
「----楽しい夏休みになりそうだなって」
ニヤッと笑うと、ロンは同情の目をダドリーに向けた。
「小僧、さっさとしろ。お前のために一日を潰すわけにはいかないんだ」
「ミラも一緒に乗ってもいいですか?」
さっさと歩いて行ってしまいそうなバーノン伯父さんに、ハリーは慌てて声をかけた。伯父さんはなんでだと不愉快そうな顔をしていたが、何か言いたそうだったが、人前なのもあり、「勝手にしろ」とだけ言って行ってしまった。
「ありがとう、ハリー。タクシーも使えたのに」
「君がいるとダドリーが面白くなるから」
ハリーはニヤッと笑うと、ミラはますます笑みを深めた。
「ハリーって時々ミラといると意地悪になるわよね」と、ハーマイオニーはコソッとロンに話しかけた。
「二人の夏休みが楽しくなりそうで安心だよ、ぼくは」
ハリーとミラは、最後にみんなと別れの挨拶を交わした。
「じゃ、夏休みに会おう」
「楽しい夏休み----あの----そうなればいいけど」
ハーマイオニーはあんな嫌な人間がいるなんてと、ショックを受けたような顔でバーノン伯父さんの後ろ姿を見ていた。
「何を言ってるんだ、ハーマイオニー!最高の夏休みになりそうさ!」
「そうだよ、ハーマイオニー」
ハリーとミラが嬉しそうに笑顔溢れる顔をしていたので、ロンとハーマイオニーは驚いた。