第18章 夏の知らせ
「敵に立ち向かって行くのには大いなる勇気が必要となる。しかし、味方の友人に立ち向かって行くのにも同じくらい勇気が必要じゃ。そこで、私はネビル・ロングボトム君に十点を与えたい」
大きな歓声がグリフィンドールのテーブルから湧き上がった。その歓声は学校中に響いたのではないかと思うくらい、四人のものよりも更に大きかった。
ミラ、ハリー、ロン、ハーマイオニーは立ち上がって叫び、歓声を上げた。ネビルは驚いて青白くなっていたが、皆んなに抱き付かれ、人に埋もれて姿が見えなくなってしまっていた。
ネビルはこれまでグリフィンドールのために一点も獲得したことはなかった。ミラも人に埋もれているネビルの手を引っ張り上げると、ネビルはやっと息ができたのか、大きく息を吸い込んだ。
「ミラ!ぼく、ぼくが、十点もらえた!」
「そうだ、ネビル!それでこそグリフィンドール生だ!」
「!」
ネビルはハッと息が一瞬止まったが、ジワジワと目から涙が溢れ出し、両手で涙を払い出した。
「な、泣かなくてもいいじゃん!」
「だ、だって、ぼく----本当にグリフィンドールで、よかったのかなって----ミラが言ってくれて、ぼく、嬉しいんだ!」
次にハッとしたのはミラだった。入学してからずっと、ネビルは時々自分はグリフィンドール生に相応しくないと言っていたことを思い出した。
「ネビルはもっと自信を持った方がいい!わたしが保証するし、ハリーも保証するさ!」
「----ありがとう」
スリザリンがトップから滑り落ちたことを祝って、レイブンクローとハッフルパフも加わって嵐のような喝采となっていた。
「したがって」
ダンブルドアが声を張り上げて言った。
「飾り付けをちょいと変えねばならんのう」
手を叩いた瞬間、グリーンの垂れ幕が真紅に、銀色が金色に変わった----巨大なスリザリンのヘビが消えて、グリフィンドールの聳え立つようなライオンの姿が現われた。
スネイプ先生が、苦々しげな作り笑いでマクゴナガル先生と握手をしているのを見かけると、ミラはハリーの肩を叩いて二人を指さした。
「ハリー!見てみなよ、あのスネイプの顔!」
ハリーはニヤッと笑ってミラを見た。スネイプ先生もあんな顔ができるんだと二人は大笑いした。