第17章 目覚め
ハリーはトロールの部屋で重体だったミラの話を聞いた時、静かに眉を寄せてミラを見た。
「ダンブルドアは君も怪我をしたって聞いてたけど、骨にヒビが入ってるなんて聞いてない!しかも全身!」
「今はもう治ってる」
「----やっぱり君を一人にするべきじゃなかった」
「あの時はあれが最善だと思って…ちょっとヘマこいただけさ」
「殺されてたかもしれないんだよ!」
「それはハリーもだろ!!」
二人は静かに睨み合っていたが、まだ体調が万全でないハリーがフラッと大きな枕に頭を預けた。
「----ごめん、ぼくが君に無茶させたんだ」
「無茶しないでって言ったのはぼくなのに」と、ハリーは申し訳なさそうにミラに言った。ミラもハリーが先に謝るとは思ってもおらず、口をモゴモゴさせた後、静かに謝った。
「わたしも、ごめん…気を付ける」
二人ではにかみあっていると、口を出さないでいたハーマイオニーとロンはこっそり安堵の溜息をついた。
それからまた話はダンブルドアの話しに戻り、ダンブルドアが実はハリー達に起こったことや行動の全てを知っていたのではないかと、ハリーは言った。
「ダンブルドアって、おかしな人なんだ。多分だけど、ぼくにチャンスを与えたいって気持ちがあったんだと思う。ぼくたちを止めないで、むしろぼくたちの役に立つように必要なことだけを教えてくれたんだ」
ミラたちは静かにハリーの話しに耳を傾けていた。
「『鏡』の仕組みがわかるように仕向けてくれたのも、偶然じゃなかったんだ。ぼくにそのつもりがあるのなら、ヴォルデモートと対決する権利が有るって、あの人はそう考えていたような気がする----」
「ああ、ダンブルドアって、まったく変わっているよな」と、ロンが誇らしげに言った。
「明日は学年末のパーティーが有るから、元気になって起きて行かなくちゃ」
「ああ、明日だったんだ」
すっかり忘れていたと、ミラはロンの方を見た。
「もう寮の得点の計算は終わってる。もちろんスリザリンが勝った----君が最後のクィディッチに出られなくて、レイブンクローにこてんぱんにやられた。でもご馳走はあるよ」
その時、マダム・ポンフリーが勢いよく入っていた。
「もう十五分も経ちましたよ!さぁ、出なさい」