第3章 ダイアゴン横丁
「ところで、君の家族の姓は何て言うの?」
ハリーが答える前に採寸が終わり、少年との会話を中断して、早々とハリーは踏台から跳び降りた。
「じゃ、ホグワーツでまた会おう。多分ね」
少年の気取った言い方にハリーはぎこちなく笑ってみせ、椅子で暇そうにしているミラと交代した。ミラはやっとかと思って席を立つと、ハリーの何とも言えない表情を見て首を傾げた。
「ハリー、大丈夫?」
「ごめん、僕外でハグリットと待ってるよ」
早々にハリーはそれだけいうと、お店から出て行ってしまった。ハリーの様子が少しおかしいことに気が付いたはミラは、まだ踏台の上にいる少年と何かあったんだと思った。
「さぁお嬢ちゃん、お待たせ」
マダム・マルキンに促されて、ミラは踏台の上に乗った。
「やぁ、君もあの子と一緒かい?」
少年がミラに声をかけた。
「うん、そう。退屈であの椅子と同化しそうだったよ」
ミラは一瞬どのように答えようかと考えたが、ここは少年に合わそうと皮肉そうに答えた。
「君も親がいないのかい?」
「…まぁね。彼から聞いたの?」
少年のいきなりな質問に、ミラは少し眉間に皺を寄せたが、すぐに何とでもないと言ったように答えた。
「ああ。君は彼の家名を知ってるかい?さっき聞きそびれてね」
「何だったかな…さっき会ったばっかりだからよく覚えてないや。ポッタラーだったかな?」
「ふぅん」
「あなたは?」
「マルフォイ。ドラコ・マルフォイだ。君の名前を聞いても?」
自分の名前を言った少年は、どこか得意げな顔をしていた。
「ミラ・グローヴァー」
「聞かない苗字だな」
「あなたと比べら…でも今日ここであなたと会えたのは光栄ね」
ミラはやっとドラコの方を向いて話した。パッとドラコも顔をこちらに向けた。遠目ではわからなかったが、少年の瞳は薄いグレーだった。少年もミラが話が分かるやつとわかったのか、青白い顔にうっすら赤みがさしたような気がした。
「君はもう入る寮は決めたかい?僕はスリザリンに決まってる」
「うーん、まだどこに入るか悩んでるんだ…どこが一番おすすめ?」
「もちろんスリザリンさ!」
迷いなくドラコは言った。