第3章 ダイアゴン横丁
ミラはハリーが終わるのをソワソワして待っていた。先に来ている少年と何か話しているが、ここからではよく聞こえなかった。
「クィディッチはやるの?」
「ううん」
ハリーは少年が言っている『クィディッチ』というものがわからなかった。
「ぼくはやるよ。父上は、僕が寮の代表選手に選ばれなかったら、それこそ罪なことだって言うんだ。ぼくもそう思うね。君はどの寮に入るかもう知ってるの?」
「まだ…」
ハリーは次第に自分が情けないと思いながらも答えた。
「まあ、本当のところは入ってみないと分からないけど。だけどぼくはスリザリンに決まってるよ。ぼくの家族は皆そうだったんだから。ハッフルパフなんかに入れられてみろよ。ぼくなら退学するな。そうだろう?」
「うーん」
「ほら、あの男を見ろよ!」
急に少年は窓のほうを顎でしゃくった。ハリーがそれを目で追うと、ハグリッドが店の外に立っていて、ハリーのほうを見てニッコリしながら、手に持った二本の大きなアイスクリームが目に入ってきた。
「あれ、ハグリッドだよ。ホグワーツで働いているんだ」
この子が知らないことを自分が知っているということで、ハリーは嬉しくなった。
「聞いたことがあるよ。召使いだろ?」
「森の番人だよ」
ハリーはこの少年の嫌味な言い方に、だんだん嫌いになってきた。
「そう、それだ。言うなれば野蛮人だって聞いたよ。掘っ立て小屋に住んでいて、しょっちゅう酔っ払って魔法を使おうとして、自分のベッドに火をつけるんだそうだ」
「彼って最高だと思うよ」
「へえ?」
冷たく言い放ったハリーに、少年は馬鹿にしたように笑った。
「どうして君と一緒なの? 両親はどうしたんだい?」
「死んだよ」
「ああ、悪かったね」
と、少年は言いましたが、とても謝っているような口振りではなかった。
「でも、君の両親もぼくらと同族なんだろう?」
「魔法使いと魔女だよ。そういう意味で聞いてるんなら。他の連中は入学させるべきじゃないと思うよ。そう思わないか?連中は、ぼくたちと同じじゃないんだ。僕たちのやり方がわかるような育ち方をしてない。ホグワーツのことだって、手紙をもらうまでは聞いたことも無かったなんてやつも居るんだ」
「入学は昔からの魔法使い名門家族に限るべきだと思うよ」
少年はそう言い切った。