第3章 ダイアゴン横丁
ハリーと同じくバッグにお金を詰めると、ハグリットが学校の仕事で713番の金庫から何かを取り出したが、何かは教えてくれなかった。ハリーとトロッコから顔を覗かせてみても、ハグリットの巨体で中が見えなかったが、ポケットに何かを入れたのを二人は確認した。
「大切な仕事だ、誰にも言わんでくれ」
そう言われると、二人は頷いた。
あっという間に地上に戻ってきた。ハグリットは青い顔をしていたが、三人はグリンゴッツ銀行を後にした。
・・・・・
ハグリットは金貨はガリオン、銀貨がシックルで、十七シックルが一ガリオン、一シックルは二十九クヌートと教えてくれた。
しばらくしてもハグリットの気分は戻らず、漏れ鍋で元気薬をもらってくるとのことで、ハリーとミラは二人でマダム・マルキンのお店へドキドキしながら入った。
マダム・マルキンは、藤色ずくめの服を着た愛想の良い、ずんぐりした魔女だった。ハリーが口を開きかけた途端、「ホグワーツなの?」と、声を掛けて来ました。
「全部ここで揃いますよ。もう一人お若い方が丈を合わせているところです」
店の奥のほうで、プラチナブロンドの髪をオールバックにした、青白い、顎の尖った男の子が踏台の上に立っていた。ミラはその眩しく光るプラチナブロンドの髪に目を少し細めた。
「お嬢ちゃんは後でね。ここで座って待っててね」
ミラはうなずき、言われた椅子に静かに座って待った。
マダム・マルキンは、ハリーをその隣りの踏台に立たせ、頭から長いローブを着せ掛けると、丈を合わせてピンで留めはじめました。
「やあ、君もホグワーツかい?」
少年がハリーに話しかけてきた。
「うん」
「僕の父上は隣で教科書を買ってるし、母上はどこかその辺で杖を見てる」
と、少年は気だるそうな、どこか気取った話し方だった。
「これから二人を引っ張って競技用の箒を見に行くんだ。一年生が自分の箒を持っちゃいけないなんて、理由がわからないね。父上を脅して一本買わせて、こっそり持ち込んでやる」
それを聞いたハリーは、彼をダドリーだと思った。
「君は自分の箒を持ってるのかい?」
と、男の子はまだ喋り続けた。
ハリーはそれに対し、「ううん」と答えた。