第14章 禁じられた森
ユニコーンの確認をしに行ったハグリッドを待っている間、ミラは大きな根元に腰掛けた。安心だとわかると、体に力が抜けて立っているのが辛くなってきたからだ。
ハーマイオニーはハリーに何があったのか聞いている様子を、ミラぼんやり見つめていた。疲れて、とても眠かった。そこへ誰かが目の前に来たことを、足音で気が付いた。
「ふん、お前もポッターもしぶといな」
顔を上げると、ドラコがいた。
「ドラコこそ、ハグリッド達と会えたんだね」
「どっかのバカが行けと、ぼくに犬を押し付けていったからな」
ミラは力なく笑った。少し棘を含ませて話すドラコだが、ミラは無事ハグリッドと合流できたドラコとファングを見かけて、心底安心していたのだ。
「ドラコなら絶対ハグリッドを見つけて、助けを呼んでくれるって思ってた」
ピクリと、ドラコは眉を顰めた。
「ありがとう、ドラコ」
ミラはドラコを真っ直ぐ見上げてお礼を言った。薄いグレーの瞳が一瞬大きく開かれると、ドラコはクルリとミラに背を向けた。
「----買い被り過ぎだ」
(素直じゃないなぁ)
段々目が霞んでいき、瞼が酷く重く感じた。目と閉じると、ふわふわした心地いい眠気を感じた。眠っちゃダメだと思っているのに、目はもう開く気配がない。
「…少しは考えて行動しろ、ぼくが呼ばなかったらどうするつもりだったんだ---聞いているのか、…グローヴァー?」
ドラコが何か言っているのに、理解ができない。また小言を言われる。ああ、でも、もう頭を支えていることすら、めんどくさい……。
プツン、と何かが切れるような音と、誰かが自分の名前を呼んでいる声が遠くに聞こえた気がした。