第3章 ダイアゴン横丁
それからしばらくして、漏れ鍋は人がまばらに来るも、空いた席にあちこち座り出した。特にやることなく、うたた寝していた時、店内がうるさくなり目が覚めた。何事かと辺りを見回すと、自分のよく知る名前が確かに聞こえたのだ。『ハリー・ポッター』と。
騒ぎの中心を見ていると、頭にターバンを巻いた青白い顔の男と、今まで見たことがないくらい大きな男が見えた。ミラは席を立ち、近づくと確かにいた。クシャクシャの髪の毛に、セロハンテープだらけの眼鏡の少年を。
「ハリー!」
「ミラ!?」
ミラは叫んだ。その声に気がついたハリーが、ミラを見つけると、大勢の人に囲まれながらもハリーはそれを潜り抜け、ミラも人をかき分けながらもハリーに駆け寄った。
「ハリー!やっぱりハリーもホグワーツに行くの?」
「うん!そうなんだ!僕、実は魔法使いだったんだ!……君もここにいるってことは」
「わたしも魔女だった!今朝ここに連れてきてもらって…学校の人が新入生を連れてくるって言ってたけど、ハリーだったなんて!」
「僕もビックリだ!」
二人は手を取り合い喜びを分かち合った。ハリーもミラが魔女だったらと願っていたし、ミラもまさか今日会えるとは夢にも思っていなかった。ハリーに最後に会った日も、バーノンが今にも癇癪を起こしそうな怒りで家を出て行った時だったし、その前は1ヶ月も会えずにいた。
二人の子供の嬉しそうな姿に、周りの大人たちは微笑ましく見守っていた。
「もう一人ここで待っちょる新入生がいるって聞いちょったが、なんだハリー!お前さんの友達だったか!」
急に大きな声が聞こえ、ミラは飛び上がった。
「ハグリット!僕の友達、ミラだ!」
「…」
ミラはこちらに来た大男の大きさにさらに驚いた。近くで見れば見るほど、ハグリットは見上げなければならなかったし、モジャモジャした髭と髪の多さにも驚かされた。
ハリーはミラが驚きのあまり、声をなくしていることに笑った。
「ハグリットはホグワーツで森の番人っていうのをやってるらしいんだ!」
「…は、初めまして…」
「よろしくな、ミラ!よーしお前ら、今日は忙しくなるぞ!」
ハグリットは二人を連れ、中庭へと向かった。