第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
さぞかし自分の姿は滑稽だろうと思った。手足は血だらけ、髪は魔法で焼き切れ不揃いグシャグシャだろうし、上着もあちこちが焦げたり穴が空いている。それでもドラコの中で、髪の毛を故意に呪いを当てる気はなかったようだ。
呪いを当てるのは気にしないが、髪の毛が焼き切れてしまったことは計算外だったらしい。違いがよくわからないと、ミラは思った。
「----ここを真っ直ぐ言ったら左に曲がれ」
ドラコが自分の横を通り過ぎる時、ボソッと出口に向かう通路を教えてくれた。そしてそのままクラッブとゴイルを引き連れて行ってしまった。どうやらこれ以上の呪いをかける気はなく、後ろめたさから逃げたと言った感じだった。
ミラは痛い両膝に力を入れて、なんとかこの地下から出ようと、ドラコに言われた通り真っ直ぐ歩いた。両膝は酷く痛く、呪いを避け続けたせいで疲労を一気に感じた。
幸い、すれ違うスリザリン生に会うこともなく、ドラコの言った通り、地下から地上へ向かう階段を見つけた。
・・・・・
なんとか誰にも見つからずにグリフィンドールの談話室に戻るのは、透明マントを持っていない限り不可能だろう。ミラの酷い姿に、最初にすれ違ったハッフルパフの生徒が小さな悲鳴の声を漏らしたくらいだ。
明らかに何かがあったミラの姿は、注目の的だった。目立ちたくないのにと、悪態をついていると、「ミラ!」と、ハーマイオニーの声がした。
「あなた、その姿----あぁ、傷だらけじゃない!それに髪も短いわ!!」
駆け寄ってくれたハーマイオニーは、ミラを見るなりショックを受けたようだ。とにかく、こんな姿をジロジロと他に見られたくなかった。特にマクゴナガル先生に見られたら、なんと言い訳をすればいいか思いつかないからだ。
あまりに酷いミラの状態に、ミラは「訳は後で話すから、早く談話室に行こう」と、ハーマイオニーをせきたてた。先生たちに見つからないように談話室に向っていると、今度はハリーが向かいの廊下からこっちへ走って来た。
ハリーも同様、ミラの酷い有様に言葉を失ってしまった。