第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
「----へぇ、お前もクィディッチに興味があったんだな。2年になったら、選手になるのか?まぁ本を読んだだけじゃ選手には選ばれないと思うが」
「そんなんじゃ…」
ドラコは本をパラパラ捲ると、パタンと本を閉じてこちらを見た。ミラはヒヤリとした。チャーリーの手紙が挟まれた所を見られたかもしれないと思った。
「…でも、グリフィンドールの選手が”気の毒な人が選ばれる”って言うなら、わたしは選ばれるかもね」
ミラはあえて気の毒な人を強調して言った。ピクリ、とドラコの眉が動いた。
「----マルフォイこそ、必要なの?…そんな本がなくても、上手く飛べるだろ」
自分はドラコを怒らせてはいけないと、ミラは必死に冷静になれと自分に念じた。しかし、ドラコがしてきた嫌がらせを思い出すと、どうも上手く褒めることができない。
どうにかして、本に挟んでるチャーリーの手紙だけを抜き取ることができるだろうか。いっそ呪いをかけてしまった方が、早かったかもしれないと、物騒な考えまで浮かんでくる始末だ。
「…そうだな、ぼくには必要のない本だ」
予想外なことに、ドラコはこっちに歩み寄ってきた。ミラは注意深くドラコを見たが、杖を持っている様子はない。自分の1メートル手前で止まったドラコに、ミラは嫌に緊張した。
「そんなにこの”クィディッチ”の本が必要なのか?」
「う、うん…」
「そうか」
ドラコはスッと本をミラの前に差し出した。居心地のいい感じではなかったが、ドラコの気が変わらない内に受け取ることにした。もう少しで本に触れる、その瞬間にドラコは本を自分の方にサッと戻してしまった。
「あぁ、悪いなグローヴァー。よく見ればこれはクィディッチの本じゃないじゃないか」
「え」
サッと血の気が引いた。
「『現代と古代の呪文学について』、ウィーズリーも勉強はするんだな」
ドラコの顔を見れば、ニヤッと笑っていた。持っていた本の表紙をわざわざ自分に見せつけて。
「せっかくここまで来てくれたのに悪いね、お詫びにこの本はぼくが返しといてやるよ」
「まっ」
やられた。ドラコは満足そうにニンマリとミラに笑った。