第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
ドラコが何処にいるのか検討も付かなかったが、スリザリンの談話室に向っている可能性はあるとミラは考えた。夕飯の時間にはまだ早く、何の用事もなければ談話室に戻る生徒は多いはずだ。地下にあるスリザリンの談話室が何処にあるかわからないが、ミラはスリザリン生がいつも上り降りしている地下へと続く階段へ駆け出した。
時々すれ違うスリザリン生が、自分を変な目で見てくるが、そんなことはどうでもよかった。ハリーはきっと計画を変える気はないだろうが、証拠は残ってしまう。
万が一チャーリーの手紙がスネイプ先生の手に渡れば、ますますややこしい事態になる。マクゴナガル先生もなんて仰られるか、考えたくもないが、カンカンに怒ることは間違いなしだ。
お願い、見つかって!と、ミラは強く願って地下の廊下を走って、ちょうど曲がった時、見慣れたプラチナブロンドの髪が見えた。
「マルフォイ!」
ミラは声を上げた。突然呼ばれた自分の名前に、ドラコはびっくりして振り返った。
「お前----何しにここまで----」
ミラは全力で走って来たせいで、酷く息を乱していた。自分を追ってきたミラにドラコは最初は驚いたものの、何故自分を追って来たのか疑問に思った。
注意深くミラを見ると、自分でなく、自分の持っている本を見ていることに気がついた。
「あぁ、もしかしてこの本か?それならぼくはちゃんとマダム・ポンフリーに許可をもらって、ウィーズリーから受け取ったよ。あいつが取り返してくれって、君に頼んだのかい?」
何が面白いのか、ドラコは意地悪く笑った。
「----その本は…わたしがロンの次に借りる約束をしてたから----だから、返して欲しいんだけど」
ミラは冷静に言葉を選んだ。もし一言でも間違えれば、頭のいいドラコはすぐに気が付くはずだと確信していた。嫌に心臓に悪いと感じた。