第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
談話室に戻るまで、幸運なことに誰ともすれ違うことはなかった。談話室にはハリーとハーマイオニーだけが残っていた。
「噛まれちゃったよ、一週間は羽ペンは持てないぜ」
ロンはハリー達に血が滲んだハンカチに包まれた手を足だして見せた。自分が餌を取りにいている間に、きっとロンがノーバートにちょっかいを出したのだろうと、ミラは呆れた目でノーバートとハグリッドの文句を垂れるロンを見ていた。
その時、暗闇の中で窓を叩く音がした。
「ヘドウィグだ!」
ハリーが素早く叩かれた窓に向かい、部屋の中にヘドウィグを入れた。
「チャーリーの返事を持って来たんだ!」
四人は頭を寄せ合って手紙を覗き込んだ。
チャーリーの手紙には、喜んでノーバートを引き取ってもらえることが書いてあった。彼の友達がちょうどルーマニアに行くことになっており、彼らに引き渡すことが安全だと書いてあった。
しかし問題もあった。法律違反のドラゴンを、誰にも見られずに運び出さなければいけないことだった。土曜日の真夜中、ノーバートを一番高い塔まで運ばなければならない。
ミラはノーバートと数日のうちに、別れを告げなければいけないことに悲しくなった。
「透明マントがある---出来なくはないよ…ぼくともう一人、ノーバートくらいなら隠せるんじゃないかな?」
ハリーの提案に、ロンとハーマイオニーはすぐに同意した。
「…ミラ、大丈夫?」
一人だけ顔を上げなかったミラに、ハリーは声をかけた。
「う、うん、いい考えだと思うよ」
ミラはハッと顔を上げた。ハリーの心配そうな顔を見て、ミラは「大丈夫だから」と、小さな声で答えた。
次の日の朝、ノーバートに噛まれたロンの手が2倍くらいの大きさに腫れ上がっていた。医務室に行くのを躊躇うロンを、三人は何度も心配の声をかけた。
「ロン、診てもらった方がいいわ」
「駄目だ、ドラゴンのことがバレる!」
ロンはマダム・ポンフリーにドラゴンに噛まれたことを知られたくなかった。しかし、昼過ぎになると、そうも言ってられなくなった。