第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
「ハグリッド、ノルウェー・リッジバック種ってどれくらいの早さで大きくなるの?」
ハーマイオニーがハグリッドに尋ねた。答えようとした途端、ハグリッドの顔から血の気が引いた。そして、弾かれたように立ち上がって、窓際わに駆け寄って行った。
「どうしたの?」
「カーテンの隙間から誰かが見とった----子供だ----学校の方へ走っちょる」
ハリーは、急いで扉に駆け寄って外を見た。遠目でもその姿ま間違えようがなかった。
「…マルフォイだ」
ハリーの呟きに、ミラも血の気が引いた。
マルフォイにドラゴンを見られてしまった----よりにもよって、こんな日に。ミラは暖かいと感じていた指先が、とてつもない速さで冷たくなっていくような気がした。
次の週、やたら薄ら笑いを浮かべているドラコに、ハリー、ミラ、ロン、ハーマイオニーは気になって仕方がなかった。
もうドラコとは距離を置いている今、情報を引き出すことはできないし、たとえ喧嘩をしていなくてもドラコは絶対に口は割らないだろうと、ミラは確信していた。
ドラコがドラゴンのことを他の誰かに話す前に、暇さえあればハグリッドの元へ向かい、説得するのだった----が、ミラはあまり乗り気ではなかった。
「ほら、ノーバート、こっちだよ!」
ミラは手を広げてノーバートと呼ばれたドラゴンが、ミラの方へ駆けていく。ドラゴンはたったの一週間で3倍もの大きさになっていた。ミラに戯れるように飛びついたノーバートを、ミラは嬉しそうに腕の中に受け入れた。
「よくできるよ、あんなこと」
ロンはあり得ないと言った顔でミラとノーバートを見た。小屋は鶏の羽や、ブランデーの空き瓶があちらこちらで散らかっていた。ハグリッドはドラゴンの世話で忙しく、ろくに家畜の世話や仕事も碌にしていないのが窺えた。
「ミラもあんなに嬉しそうじゃねぇか」
「でもハグリッド、ノーバートは二週間もしたらこの家ぐらい大きくなるんだよ。マルフォイがいつダンブルドア校長に言いつけるかわからないよ」
ハリーの言葉に、ハグリッドは暗い顔をした。