第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
「ああ、そうだ----まだ、あのことにこだわっとるのか?スネイプ先生は石を守るほうの手助けをしたんだ。盗むわけがない」
ハグリッドはそう言うが、ミラ達には顔を見合わせずとも、スネイプ先生がすでに他の先生達がどんな方法で石を守っているのか、多分だが簡単にわかるはずだ。いや、わかったはずなんだ----クィレル先生とフラッフィーを出し抜く以外は。
「ハグリッドだけがフラッフィーをおとなしくさせられるんだよね?」
「俺とダンブルドア以外は誰一人として知らん」
ハリーが心配そうに尋ねると、ハグリッドは得意げに言った。
「ハグリッド、窓を開けてもいい?茹だっちゃうよ」
「悪いなハリー、それはできん」
流石の部屋の暑さに四人は顔を赤くさせ、汗もかいていた。
ハグリッドがチラリと暖炉の方を見ていたことに、ハリーとミラは気が付いた。二人も暖炉の方を見ると、炎の真ん中、ヤカンの下に大きな黒い卵があった。
「ハグリッド----あれは何?」
聞かなくてもハリーにはそれが何かわかった。
「すごい、こんなに大きいんだ」
ミラにもわかっていた。
ハグリッドは「あれは---その----」と、落ち着かない様子で髭を触り出した。
「ハグリッド、どこで手に入れたの?----高かっただろう?」
ロンも火の傍にかがみこんで卵を見た。
「賭けに勝ったんだ」
ハグリッドは昨晩、近くの村でカードゲームをして勝ったことの経緯を話すと、火の中にある卵を愛おしそうに見ていた。すでに種類もわかっているようで、このドラゴンの卵はノルウェー・リッジバックというらしい。
「ハグリッド、あなたは木の家に住んでるのよ」
ハーマイオニーが冷静にハグリッドに話しかけても、ハグリッドは鼻歌まじりで火をくべていた。