第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
「君たちはいいよ、わたしなんかハーマイオニーが寝るまで暗唱を聴き続けなきゃならなんだから…」
おかげで狼男(ワーウルフ)の習性や魔法史の年号が嫌でも思い出されて、ミラは頭を抱えた。
「御愁傷様、でも君はきっと良い点が取れるさ」
この時ほどロンに殺意を覚えたことはないと、ミラは恨めしそうにロンを見た。
四人は自由時間ほほとんどを図書館で過ごした。窓の外はここ数ヶ月ぶりの素晴らしい天気だった。
「こんなのとっても覚えきれないよ」
とうとう午後になってロンが根を上げて、図書館の窓の外を恨めしげに睨み付けていた。
「ロンが寝るまでの間に、耳元でこの変身術の呪文集を読んであげようか?」
ミラはニヤリと笑った。ロンは先日自分が言ったことに根を持っているなとわかった。
「ハグリッド、図書館で何をしてるんだい?」
話題を変えなければと、ロンはちょうど自分たちの後ろを過ぎたハグリッドに気が付いて声をかけた。三人は顔を上げてハグリッドを見上げると、ハグリッドのモジモジしている姿が見えた。背中に何か隠している様だった。
モールスキンのオーバーを着たハグリッドは、いかにも場違いな感じだった。
「いや、ちょっと見てるだけ」と言ったごまかすその声が上わずっていたせいで、たちまち四人の興味を惹きつけてしまった。
「おまえさんたちは、何をしてるんだ?」
ハグリッドが突然疑わしげに尋ねてきた。
「まさか、ニコラス・フラメルをまだ探してるんじゃないだろうな?」
「そんなのもうとっくの昔にわかったさ」
と、ロンが意気揚々と言った。
「それだけじゃない。あの犬が何を守っているのかも知ってるよ。賢者のい----」
「シーッ!」
ハグリッドは、急いで誰かが聞いていないかまわりを見回した。
「そのことは大声で言い触らしちゃいかん。おまえさん達、まったくどうかしちまったんじゃないか?」
「ちょうど良かった。ハグリッドに聞きたいことがあったんだ」
ハリーが思い出したように話し始めた。
「フラッフィー以外にあの石を守っているものは何かあるのかな?」
「シーッ!」
ハグリッドは冷や汗をかきながら困ったように四人を見た。