第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
ドラコの嫌がらせは、ハリーにだけには留まらず、ミラにも度々ランダムで振られた。余程クィディッチでのことで根を持っているのか、クラッブとゴイルに至っては拳をバキバキ鳴らして見せていた。
流石に人目もあり、四人は常に一緒にいたおかげでドラコ達も悪口程度のことしか仕掛けてこないが、異常に絡んでくるので無視しようにも、視界に入られては難しいことだった。
しかし魔法薬のことがあってか、ミラには不用意に嫌がらせはあれからなくなり、ハリーは「ぼくにも君みたいな機転をきかせられたらな」と羨ましそうな眼差しを向けられた。
「ハリー、もうマルフォイの教科書全部にサインあげなよ。あんなに熱心なファンなんだから」
「奇遇だね、ミラ。マルフォイは君のサインを欲しがっているんだよ」
「えー?そうなの?じゃあサインの練習をしておかないと」
ミラは魔法薬学の教科書の空いているスペースに適当な線を引いたサインを書いてみせた。もはやドラコはどっちを標的にしているのか、ハリーとミラの中で押し付け合いがこの頃談話室で見かけられた。
更に最近めんどくさいことが増えたのだった。
ハーマイオニーが十週間先の試験のために、復習予定表をミラ、ハリー、ロンに強く勧めてきたのだ。
「大切な試験なのに、もう一ヶ月前から勉強をはじめるべきだったわ。わたしとしたことが----」
ハーマイオニーらしい後悔に、今更呆れることは無くなったが、有り難くないことに、先生達もハーマイオニーと同じ意見のようだった。
宿題は毎回山のように出され、復活祭はその宿題に追われて楽しむことはほとんどなかった。ハーマイオニーがすぐそばで杖の振り方の練習や、ドラゴンの血の12種類の利用法を暗唱したり、三人はのんびりするどころではなかった。
ミラは一度こっそり談話室から抜け出そうとすると、運悪くかハリーとロンに見つかり、抜け駆けは許さないと両腕を二人に掴まれて、引き戻されたりもした。