第13章 ノルウェー・ドラゴンのノーバート
材料を取って、ハーマイオニーのいるテーブルに戻る前に、ハリーとロンに視線をよこすと、二人はサムズアップしてミラに最高の笑顔を送った。
「わたし、もう心臓が止まりそうだったわ!」
「杖を鞄の中に閉まっててよかったよ」
テーブルに戻ると、ハーマイオニーは声を潜めて迎えてくれた。
「マルフォイ達の顔と言ったら、最高に悔しがってたよ」
「でも10点減点されたままだわ…」
「次の得意科目で取ればいいさ」
「まぁ!あなたが真面目に授業を受けているのはマクゴナガル先生のだけじゃない!」
「そのマクゴナガル先生からいっぱい頂戴するよ」
クスクス笑っていると、ものすごく不機嫌なスネイプ先生がこちらを見ていたような気がして、二人はすぐに口を閉じて作業に戻った。
・・・・・
魔法薬学の授業が終わると、こちらを目の敵にして教室を出て行ったドラコ達を、ミラはニンマリ笑って見届けた。自分たちも次の授業のために早く移動しなければと魔法薬学の本や羽ペンなどをカバンに納めていた。
すると、テーブルの前に誰かがやってきた。
「さっきは面白いの見せてもらった、マルフォイもあんな顔するんだな」
視線を上に上げていくと、スリザリンの上着を着た肌が浅黒い少年が、こちらを見下ろしていた。
「あいつ、自分の家が純血で、父親もこの学校の理事を務めてるだろ?談話室でも偉そうにしてるよ。あ、じゃあまたね」
ミラが少年に「誰?」と聞く前に、目の前の少年が話を始めてしまったため、ミラは黙って話を聞いていると、少年は話を勝手に終わらせて慌てて入り口で待っていたであろう友人達と教室を出て行った。
「…誰?」
「スリザリンのブレース・ザビニよ」
やっと口を開いたミラに、ハーマイオニーはすかさず答えた。
「スリザリンでもマルフォイのこと嫌いな人がいるのね」
「談話室でもあんなんなら、救えないよね」
「次の教室へ行きましょう」とハーマイオニーに言われて、ミラは自分の私物を詰め込んだ鞄を持って教室を出た。