第12章 ニコラス・フラメル
ミラ、ロン、そしてネビルは慌てて後ろを見ると、そこはドラコがいた。
「おっと、失礼。ウィーズリー、気が付かなかったよ」
ドラコはクラッブとゴイルに向かってニヤッと笑った。三人は相手にするかと、ドラコ達から試合中のハリーを見上げた。
「この試合、ポッターはどのくらい箒に乗っていられるかな?誰か賭けるか?ウィーズリー、どうだい?」
ロンは答えなかった。
「それとも、グローヴァー、君はどうだい?」
話しを振られたミラも答えなかった。何も答えない二人にドラコはせせらっていて、今にも一触即発しそうな雰囲気にネビルはブルブル震え出した。
ハーマイオニーは全くドラコたちのことなど目に入らず、スニッチを探して鷹のように空高く旋回しているハリーを目を凝らして見守っていた。
「グリフィンドールの選手がどういう風に選ばれたか知ってるかい?」
と、しばらくしてドラコが聞こえよがしに言った。
「気の毒な人が選ばれてるんだよ。ポッターは両親が居ないし、ウィーズリー家はお金が無いし---ネビル・ロングボトム、君もチームに入るべきだね。脳みそが無いから----あぁ、そういえばグローヴァー、君も両親がいなかったね、それにそのセーターはよく見ればウィーズリーのと似ているな。貧乏人らしい酷いデザインだ」
ミラはスッと心が冷え切っていくのがわかった。ハリーの心配をしなければいけないのに、ドラコの侮辱された言葉に冷静になるのを忘れそうになった。静かに席を立って後ろを振り返ると、ニヤニヤと笑っているドラコとクラッブとゴイルがいた。
ネビルは顔を真っ赤にして、座ったまま後ろを振り返ってドラコの顔を見た。
「マルフォイ、ぼ、ぼく、君が十人束になっても敵わないぐらい価値が有るんだ!」
と、ネビルがつっかえながらも言い放った。
マルフォイとクラッブ、ゴイルは大笑いした。ロンは試合から目を離さずに、「そうだ、ネビル、もっと言ってやれよ」と、口を出した。
「ロングボトム、もし君の脳みそが黄金で出来ていたとしても、君はウィーズリーより貧乏なんだよ」
「マルフォイ」
ピリッとした空気に、ドラコは口を閉じた。それまでずっと黙っていたミラがやっと口を開いて、静かに自分を睨みつけていた。