第12章 ニコラス・フラメル
次の日のお昼過ぎ、クィディッチの更衣室の外で「幸運を祈る」とハリーを見送ったが、四人は不安な顔をさせた。果たして再び会えるのかとロンとハーマイオニーの顔を見ればわかった。
「ハリー、何があっても絶対に助けるから」
ミラはギュッとハリーの開いた右手を取って握りしめた。
「それに、仇は取る」
「縁起でもないこと言うなよ!」
ロンはミラを小突いた。
「いてっ!みんなが辛気臭い顔するから和ませようとしたのに…ほら、ハリー、そんな顔じゃ他のみんなも心配するよ」
ミラは困ったようにハリーを見ると、ハリーはなんとか下がった広角をあげようと努めた。
「それにわたしに助けられないことなんてあった?」
「そういえば、そうだったね」
「どさくさに紛れて、スネイプ先生の髪の毛を三つ編みだらけにするからお見逃しなく」
「なんだって?」
ミラはパチンと片目を閉じてハリーの手を離した。「それじゃあ」と、ハリーに別れを告げると、ハリーは目をパチパチさせてこっちを見ていた。
「君ってやつは」
「わたし達が不安な顔を見せたらハリーだって不安になる。ハリーの命はわたし達にかかってるんだ!」
「そうりゃそうだけどさ…今の君はスネイプに噛みつきに行きそうで怖いよ」
スタンドに着くと、ネビルの隣が空いていたので三人はその隣に腰掛けた。ネビルは三人がやけに深刻そうな顔をしていて、クィディッチの試合観戦なのに何故杖を持ってきているのかさっぱりわからなかった。
「いいこと、忘れちゃだめよ。『ロコモトル・モルティス』よ」
と、ハーマイオニーが、杖を袖の中に隠そうとしているロンに囁いた。
「わかってるったら。ガミガミ言うなよ」
ロンは鬱陶しそうに、噛み付くように言った。
「---見て、二人とも。校長が来ている」
「まさか…本当だわ!」
「だからスネイプがあんな顔をしていたのか…」
ミラに言われて指を刺された方を見ると、遠くからでもわかる大きな白い髭のダンブルドアが試合のよく見える席に座っていた。
「これでスネイプ先生も無闇にハリーに手を出せないわ」
「いい君だね…そろそろ試合開始だ----っ、痛ッ!」
突然誰かがロンを後ろから小突き、ロンが頭に手を抑えた。