第12章 ニコラス・フラメル
「マルフォイが十人束になったって、君には敵わないよ」
と、ハリーは言った。
「組分け帽子に選ばれて、君はグリフィンドールに入ったんだろう?マルフォイはどうだい?鼻もちならないスリザリンに入れられたよ」
蛙チョコの包み紙を開けながら、ネビルは微笑んだ。ミラはハリーの優しさに心が温かくなった。
「ハリー、ありがとう----ぼく、もう寝るよ----カードあげる。集めてたよね?」
ネビルが寝室に行ってしまうと、ハリーは『有名魔法使いカード』を眺めた。
「またダンブルドアだ---ぼくが初めて見たカードだ----」
ハリーが息を飲みこんだ。
「ハリー?」
ハリーの様子がおかしいことに、ミラはすぐに気が付いた。カードの裏を食い入るように見つめていて、「見つけたぞ!」と、三人に囁いた。
「フラメルを見つけた!どっかで名前を見たことがあるって言ったよね。ホグワーツに来る列車の中で見たんだ、ほら、ミラ、一緒に見たはずだ!」
ハリーはカードの裏に書いてあることを三人見せた。そこには『パートナーであるニコラス・フラメルとの錬金術の共同研究などで有名』と、書かれており、ハーマイオニーは飛び上がって「ちょっと待ってて!」と女子寮の階段を一目散に上がっていった。
どうしたのだろうと残された三人は顔を見合わせると、ハーマイオニーは大きな古い本を抱えて戻ってきた。
「ちょっと軽い読書をしようと思って、随分前に図書館から借りていたの」
「軽い?」とロンが口走ったが、ハーマイオニーは見付けるまで黙っててと言うなり、ブツブツ独り言を言いながらすごい勢いでぺージをめくりはじめた
。
「これだわ!これよ!」
「もう喋ってもいいのかな?」
ロンが不機嫌な声をあげたが、ハーマイオニーは気に留めず、お構いなしに読み上げた。
「ニコラス・フラメルは----」と、一泊置いてドラマチックに囁いた。
「我々の知るかぎり、《賢者の石》の創造に成功した唯一の人物である!」