第12章 ニコラス・フラメル
「ハリーみたいなスーパープレイ、わたしにはできないよ」
ミラは居心地悪そうにソファーに座り直すと、ふと、湖の林でドラコと箒での競争を思い出した。あの時クィディッチがどれだけ難しいのか、試合をせずともかなりの飛行術がないと難しいと体感した。それと同時に、ドラコに言われた言葉も思い出し、ミラは顰めっ面をした。
その時、ネビルが談話室に倒れ込んで来た。どうしたのかと四人はネビルに近寄ると、ネビルの両足はピッタリとくっつけられた状態だった。
「足縛りの呪いだわ!」
すぐにハーマイオニーが足縛りの呪いを解くと、ネビルは震えながら立ち上がった。四人は座っていたソファーにネビルを連れて戻り、ハリーとロンの間に座らせて話を聞いた。
「マルフォイが---」
ネビルの声は震えていた。
「図書館の外で会ったんだ。そしたら、誰かに呪文を試したかったんだって言ってた」
「マクゴナガル先生のところに行きなさいよ!マルフォイがやったって報告するの!」
ハーマイオニーがネビルを急き立てたが、ネビルは首を横に降った。
「これ以上の面倒は嫌なんだ」
「ネビル、あいつに立ち向かわなきゃ駄目だよ!あいつはいつも誰かをいいように使ってる!あいつの言いなりになって、これ以上付け上がらせていいてもんじゃない!」
ロンは力強く言ったが、ネビルの暗い顔が晴れることはなかった。
「ぼくは勇気がなくてグリフィンドールには相応しくないって、言わなくたってわかってる…マルフォイがさっきそう言ったから」
声を詰まらせて、今にも泣きそうなネビルを見て、ミラは眉間に皺を寄せた。
「やり返せないなら…わたしがやってもいい。もっと酷い呪いをあいつにかけてあげるよ」
ミラがポツリというと、ネビルは首を強く横に降った。
「そんなこと、君にやらせたくない…お願い、やらないで」
ネビルは涙目でミラを見上げた。ミラは気まずげにネビルから目を逸らすと、小さな声で「わかった」と言った。
隣に座っていたハリーが、ローブのポケットから蛙チョコレートと取り出した。ハリーは今にも泣きそうなネビルにそれを差し出した。