第12章 ニコラス・フラメル
新学期が始まると、四人は授業の合間の十分間休憩の合間に図書館で必死に本を漁った。しかしいくら漁っても、フラメルという名前一つ見つけられないでいると、もう無理かもしれないと諦める雰囲気が漂った。
「ぼく絶対にどこかでこの名前を見た気がするんだ」
ハリーと同じ本棚で本を探していると、ミラはハリーの横顔をチラリと盗み見ては、またすぐ本に視線を戻した。
「…わたしも、見た気がするんだ」
ハリーが次にミラを見る番だった。ミラも思い出せないことにイライラしている様子が見て取れ、ハリーもまた本に顔を戻した。
しばらくすると、ハリーのクィディッチの練習も始まった。ハリーがいない中、ミラはフラメルという名前をどこで見たか思い出そうとしていたが、どうしてもそれが思い出せずにいた。
談話室でロンとハーマイオニーのチェスの対戦をぼんやり眺めていると、ハリーがクィディッチの練習から戻ってきた。
「おかえりハリー、…酷い顔をしているけど、何かあった?」
ミラは座っていたソファーの隣をハリーのために空けると、ハリーは大きなため息をついて座った。チェスに集中していたロンとハーマイオニーもすぐに事態に気が付いて、チェスの手を止めた。
「最悪のニュースだ、今度の試合の審判はスネイプになった」
ハリーは他のグリフィンドール生に聞こえないように声を潜めて三人に伝えた。
「試合に出ちゃ駄目よ」
と、ハーマイオニーはすかさず言った。
「病気だって言えよ」
と、ロンが言った。最終的には足を折ればいいと、乱暴な考えにミラは「ハリーの足よりあの陰険教師の足を折った方がいい」と不穏なことを言い出した。
しかしシーカーの補欠はおらず、ハリーが出ないことには試合ができなくなってしまうのだった。
「---そうだわ、ミラ!あなたをシーカーの補欠にするってのはどうかしら?」
「え?」
ハーマイオニーはキラキラした目でミラを見た。ハリー、ミラ、ロンはビックリして素っ頓狂な声をあげた。
「だってあなたの飛行術も相当上手よ、初めての飛行術の授業の時、あなたハリーのところまで飛んでいったじゃない!すごく早かったわ!」
「あれは真っ直ぐ飛んだだけだし…」