第11章 みぞの鏡
代わりにハリーが答えた。
「そんなはずはない…ぼくの家族はみんな死んじゃったんだ----もう一度ぼくに見せて」
「君は昨日一人占めで見たじゃないか、ぼくにもう少しだけ見せてよ」
「きみは、『クィディッチ』の優勝カップを持ってるだけじゃないか。何が面白いんだよ?ぼくは両親に会いたいんだ」
「押すなよ」
ハリーとロンは鏡の前で言い争い、ミラは二人の間に入って辞めさせようとう割り込んだ
。
「二人とも静かに!落ち着くんだ!」
突然外の廊下で音がして、三人はギクリと体をこわばらせた。ミラは慌てて近くに落ちていた透明マントを引っ掴むと、三人は息を潜めてマントを被った。
被ったと同時に、ミセス・ノリスが部屋に入ってきた。
三人はこの透明マントが猫に効くのだろうかと不安を感じながらも、ジッと動かずミセス・ノリスが去るのを待った。何年も経ったような気がするころ、やっとミセス・ノリスは部屋から出て行った。
三人はマントから出てホッと息をついた。
「まだ安心はできない----フィルチの所に行ったかもしれない。ぼくたちの声が聞こえたに違いないよ、さあ行こう…ミラ?」
すかさずロンはハリーの腕を引っ張りながら部屋を出て行こうとすると、足音が二人分しかないことに気がついて振り返った。
「ミラ?」
ロンはもう一度ミラに声をかけると、ミラは鏡の前で突っ立ていて、ジッと鏡の中を見ていた。まるで張り付けられたように動かないミラにロンは「君も何をしてるんだ!」と、もう片方の手でミラの腕を掴んで部屋から出た。