第11章 みぞの鏡
「そのオレンジのセーターはもしかして、僕たちの母さんからかな?」
「これでミラも僕たちウィーズリー家の仲間入りだ」
「それを着て大広間で食事だ!」と、双子とパーシーは談話室から慌ただしく出ていった。ミラは慌てて寝室に戻り、言われた通りオレンジのセーターを身につけた。
少し大きめに作られたのか、袖は少し余っていたが全然問題がなかった。これなら来年も着れそうだと、鏡に映ったミラの顔はにっこりしていた。ハーマイオニーがわざわざ自分のためにおいてくれていったブラシを手に取り、髪の毛を綺麗に梳かした。後ろの髪を少し手に取り、先ほどハーマイオニーから届いたプレゼントのバレッタを付けて、姿見の前で一回りした。
こんな素敵なことだらけのクリスマスでいいんだろうか---と、ミラは一瞬暗い考えが過った。が、すぐに唇は口角をあげ、あっという間に暗い顔を吹き飛ばした。
談話室へ向かうと、ハリーとロンが暖炉の前で話していた。
「ハリー、ロン、メリークリスマス!」
ミラは笑顔で二人に駆け寄ると、二人は少しびっくりしたようにミラを見たが、すぐに着ているオレンジのセーターがウィーズリー家のものだとわかった。
「メリークリスマス、ミラ!君もロンのお母さんからもらったの?」
「うん、フレッドとジョージがこれを着て大広間に来るようにって。ハリーのセーターも素敵な色だね」
ハリーのセーターはエメラルド色で、ミラはハリーにはぴったりの色だと思った。
「メリークリスマス、ミラ、君のも上等なやつだ」
ロンのセーターは栗色で、こちらも似合っていると思ったが、ロンの顔を見るなり、ミラはまたロンは文句を言っているんだろうなと予想できた。
「ロン、今度家の住所を教えてよ。ぜひロンのお母さんにお礼がしたい」
「ぼくもだ、ロン」
ハリーとミラはニコニコとロンを見ていうと、「来年はキラキラなセーターが届いても知らないぞ」と、少しぶっきらぼうに言ったが、ハリーもミラも「それも素敵だ」と褒めるので、さっさと大広間へ行こうと二人を即足した。