第11章 みぞの鏡
ハグリッドがニコラス・フラメルの名前を出してから、四人は本気でフラメルを探し出していた。しかし、もう二週間はなんの収穫もなく、広すぎる図書館と、膨大な本の量、そして厄介なのがニコラス・フラメルがどんな人物であるか分からないからこそ、余計に苦労していた。
マダム・ピンスに聞けばすぐにわかるだろうが、四人は自分たちがそれを調べていることがスネイプ先生の耳に入ってはいけないと、暗黙の了解で聞かないでいた。
こうしている間に、クリスマスの休暇がやってきた。
ハーマイオニーは実家へ帰ってしまい、ミラは朝起きると、隣のベッドにいるはずのハーマイオニーの姿がなく、少し肩を落としたが、誰もいない部屋に自分だけで、久しぶりのプライベートな空間にミラは二度寝を決め込んだ。
談話室はいつもより閑散としていて、暖炉の傍の心地良い肘掛け椅子をハリー、ミラ、ロンはいつも占領していた。何時間も座り込んで、串に刺せるものはおよそ何でも刺して火で焙って食べた----パン、トースト用のクランペット、マシュマロなど。
ロンはハリーに魔法使いのチェスの手解きを始めていた。
「ハリー、ロン、そろそろ図書館に行かないと」
ミラは休暇に入ってから一度も図書館に通っていないことに、少し罪悪感を感じていた。最初は三人で好きなことをや楽しいことを存分に楽しんだが、もしハーマイオニーが帰ってきた時にバレてしまうと、後々面倒だと思ったのだ。
「これが終わったら行くよ、---多分ね」
ロンはハリーにチェスの説明をしながら投げやりに答えた。
「ハリー」
少し声を強めてハリーの名前を呼んだ。
「行くから---先に行ってて!」
ハリーはすでに動くチェスに夢中だった。ミラはため息をついて二人を置いて図書館に向かったが、談話室を出ると冷たい空気にぶるりと体を震わせた。やっぱり部屋に戻ろうかと思ったが、自分から言った手前、戻るのは少し許せなくて寒い学校内を歩いた。