第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
「ふん、やっと諦めたか」
ドラコは自分を追いかけてくるミラの姿が見えなくなり、ゆっくりとその場に止まった。思ったよりも自分の後をついて来たことに驚いたが、振り返ればいつの間にか姿が見えなくなっていた。
どこかの木の枝に当たってしまったのかもしれない---と、気にかけるような考えが浮かび、ドラコは自分らしくないとその考えを否定した。
ふん、と鼻を鳴らすと、先ほどとは違い、ゆっくりしたスピードで先に進んだ。
バキ--バキバキ--ガサガサ---変な音が聞こえた。ドラコは薄暗い林から聞こえてくる音にゾクッと鳥肌がたった。その音は徐々に自分に近づいて来ていると知り、トロールか、はたまたまだ自身が知らない未知の魔法生物か、何かが近づいて来ている思うと、ドラコは今にも悲鳴をあげそうになった。
しかしその音は突然消えた。
「ドラコ!」
目の前に突然振り切ったはずのミラが目の前に急に現れ、ドラコは声にもならない悲鳴をあげた。
「ごめん、ドラコ!そんなに怒ると思ってなくて…」
至る所に小枝や葉がミラの髪にまとわりつき、頬には小さなかすり傷があったが、ミラはそんなことはお構いなしに、やっと追いついたドラコへ必死に謝罪した。
「試すような真似してごめん…本当に反省してる…ごめんってば…」
「ドラコ?」と、ミラはいつまで経ってもなんの反応もしないドラコを不思議に思い、顔を覗き込んだ。
「お前…どうやってここまで来たんだ?さっきの音はなんだ!それになんだその格好は!」
やっと話したかと思うと、ドラコは矢継ぎに言葉を並べ、ミラは驚いて少し後ろに距離をとった。
「どうやってって…障害物が多いから上を飛んできた。音ってのは…多分さっき枝とかに当たった音だと思うし…もう夢中だったからそこは見て見ぬ振りしてよ!」
「…」
最後は逆ギレ気味にミラは言うと、ドラコは顔を引き攣らせて呆れた目でミラを見た。