第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
「ドラコ!」
ミラはすぐに立ち上がり、箒にまたがってドラコの後を慌てて追いかけた。思ったよりもドラコの内面を傷付けてしまったと気が付き、前方を飛んでいるドラコの横に並んだ。
「待って、ドラコ!ごめんって!」
「うるさい!着いてくるな!」
ツン、とドラコはミラから顔を背けて、更に箒のスピードを上げた。ミラもドラコに追い付くためにスピードを上げると、ドラコはますますスピードを上げてきた。
林の中を駆け抜けるには早すぎる早さに、ミラは耳にビュンビュンと通り過ぎていく木々の音にヒヤヒヤした。目の前を猛スピードで突っ切っていくドラコの箒さばきは上手く、このままでは本当に見失ってしまうか、木か枝に当たって追突してしまうか時間の問題だった。
(こんなに上手だったなんて…)
ミラはいつもドラコが1年生がクィディッチの代表選手になれないことへの嘆きや、マダム・マルキンの店で新型の箒やクィディッチについて楽しそうに語っていたことを思い出すと、本当に好きなんだと改めて知った。
何度か木の枝にぶつかりそうになると、少しずつ距離ができ始めた。これ以上追いかけると本当に怪我をしてしまうかもしれないと思い、ミラはゆっくりとスピードを落とした。
ドッドッドッっと、心臓の音がやけにうるさく、思っていたより息も乱れていた。飛行術の授業ではここまで早く、そして障害物を避けることはなかったため、以下にクィディッチがハードなゲームかミラは思い知らされた。
飛ぶ技術に加え、相手のビーターからの攻撃、ブラッジャーへの注意、スニッチの取り合い、時には悪天候でのプレイなど---ハリーはこんな大変なことをしていたのかとミラは大きくため息をついた。
だからと言って諦めるには悔しくて、ミラはもう姿も見えなくなってしまったドラコが向かった方角を睨みつけた。