第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
ドラコの知っている女の子とは、いつも自分の身だしなみに気を使い、大人しくて弱い生き物だと思っていた。特に自分の母親はそうだ、身だしなみはもちろん、言葉遣いも綺麗だ。いつも自分や父の心配をし、時には父を建てる素晴らしい女性だ。
けっして身体中に葉っぱや枝をくっつけ、顔に擦り傷を作り、箒を乱暴に乗り回し、杖を使って脅すなんて、野蛮人そのものだとドラコは思った。
「全く…野蛮人の考えることは理解に苦しむ、品位のカケラもない」
ドラコは箒を進めると、ミラは顰めっ面でドラコの後ろ姿を睨んだ。ミラは箒の肢を強く握ると、ドラコの横を猛スピードで飛び去った。「おい!危ないだろう!」と、ドラコが怒鳴っていたが、ミラはお構いなしに林の入り口まで飛んでいった。
(わたしは…何を期待していたんだろう…)
ドラコの自分を見る目が軽蔑の色が混じっている、それを見た瞬間、ミラは自分の心が冷えていくのがわかった。
魔法薬学で一緒に組を組んでたった数ヶ月だったが、真夜中の決闘で見捨てきれずに助けてしまったこと、女子トイレでトロールと出会した時は先生に自分がトイレにいるかもしれないと伝えてくれたこと---。確かにドラコとの間には小さな絆ができていると、思っていた自分が恥ずかしくなった。
冷えた空気が余計にミラの心を冷えさせるには十分だった。