第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
怪しい、とミラはドラコをジッと観察した。心なしかいつもより顔が青白いような気がした。スニッチ、箒、林の奥で一人。
「---もしかして練習してたの?こんな誰も居ないところで?」
ミラがそう言うと、ドラコはキッとこっちを睨み付けてきた。青白かった顔に赤みが少しさし、知られたくなかったんだとミラは思った。
「だったらなんだ…そういうお前は何をしてたんだ?ポッターに見捨てられたのか?」
「ハリーはクィディッチの練習、わたしはただの気分転換だけど…」
「こんなところを一人でか?」
「わたしだって一人になりたい時くらいあるよ」
お互い見られたくないものを見られた気まずさで、会話がプツリと途絶えてしまった。更に喧嘩をしていたこともあり、久々の会話でどう続けていいのかわからず、どうしても黙り込んでしまう。
「うっ…」
ミラは頭を押さえて、フラフラと下へ下降していった。
「グローヴァー…?」
ドラコもミラの異変に気が付き、下へ降りていくミラを上から見ていた。ミラはどんどん下へ下がっていき、そして地面に着くと、地面にうずくまってしまった。
「--おい、グローヴァー!冗談はよせ!」
先ほど頭を押さえていた様子を思い出し、ドラコはサッと血の気が引いた。急いで自分の箒も下に下降させ、地面に足がつくと箒を捨ててミラに駆け寄った。
「頭を打ってたのか…?」
「……」
「お、おい!なんとか言え…だ…大丈夫、か?」
ドラコは膝をつき、ミラの背中に手を当てようとした時、よく見ればミラはブルブルと震えていた。耳をすませば「ククッ」と笑いを堪えるよな声も聞こえ、ドラコはピシリと固まった。
「お前、騙したな!!」
ドラコはミラに怒鳴ると、ミラはうずくまっていた体を起こしてニンマリとドラコを見た。
「ふふっ、ドラコも心配する言葉が使えたんだね」
「っ!?」
「もっとひとでなしって思ってたのに、案外そうでもないんだ」
「--このっ……一生そこでうずくまっていろっ!最低の気分だっ!」
ドラコはカンカンになって立ち上がり、乗り捨てた箒を引っ掴んで飛んでいった。