第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
しばらくゆったりと楽しんで飛んでいると、キラリと何か光るものが目の前を横切り、ミラは「わっ」と声を漏らしてその場に止まった。
「何、今の…?」
ミラは目を凝らして辺りを見回すと、それは遥か頭上にまで上がっていた。キラキラと光るそれは一定の場所には留まらず、忙しなくあちこちに飛び回っていた。
その動きはつい最近見たような気がして、ミラは箒の肢をギュッと握ると、一気にその光るものの所へ飛び上がった。右腕を伸ばして、光るそれに触れようとしたその時---。
「おいっ!」
「うっ!!」
ドカッ! ミラは横から飛び出してきたものに激突した。ミラはそのまま弾き飛ばされ、近くに聳え立った大きな木の幹に左肩から当たり、クラクラする頭を手で押さえた。
なんとか落下せずに済み、ミラは下を見てホッと安心の息を漏らした---が、ミラはつい先ほど自分を突き飛ばしたのが人かもしれない、もしホグワーツの教師だとしたら、なぜ自分がここで箒で飛んでいるのだと罰則はもちろん、今後箒の管理も厳しくなるだろうとミラは顔を青くした。
一体何がぶつかってきたのだろうと、自分の突き飛ばされてきた方角を見ると、目を大きく開いてこっちを見ているドラコ・マルフォイとばっちりと目が合った。
「…ドラコ?」
「お前がなんで…ここに…」
「なんでって…」
まだ肩に痛みを感じながらも、ミラはゆっくりとドラコの方に向かって飛んだ。
「光るものが見えたんだけど…そしたらアンタがぶつかってきた」
「飛び出して来たのはお前だ!おかげでぼくは落ちそうだったんだぞ!」
落ちればよかったのに、とミラは怒鳴るドラコを見て思った。ヒュン、とすぐ耳の近くに何かが通り過ぎて、それで目で追っていくと、それは先ほどキラキラと光っていた物だった。
「それって…スニッチ?」
光る物の正体は、羽根の生えた金色の玉、ゴールデンスニッチだった。それはドラコの周りをグルグルと飛び回り、ドラコは慌ててそのスニッチを掴み取った。
「お前には関係ない」
「関係ないって…ふーん…」
ミラは疑り深い目でドラコを見ると、ドラコは気まずそうに目を逸らした。