第10章 クィディッチの初試合とゴールデンスニッチ
鍋を取りに行った帰り、ドラコはミラとハーマイオニーの組が目に入ってきた。二人は淡々と作業をこなし、既に材料を鍋に入れて煮込むところまで進んでいたことに目を見開いた。
「あと数十分も煮込めば完成するわ、こんなにスムーズにできるなんてわたし驚いたわ!」
「ハーマイオニーは教えるのが上手だから。ここの細かいところとか、わたしなら見逃しそう」
「でも材料を切ったりするのは本当にあなたの方が上手よ!ミラは料理が得意なの?」
「うーん…多分」
ドラコは早足で自分の席に戻った。水を火にかけ、切ったりすり潰した材料を順番に確認しながら入れていく。沸々と煮えていく水のように、自身の機嫌も沸々と煮えて、ドラコは眉間に皺を寄せていた。
「パーキンソン、まだ材料は切れないのか?」
「あともう少しよ!ちょっとこれ固くて…」
「---貸せ、僕がやろう。火を見ててくれないか?」
「ドラコ…ありがとう、すっごく頼りになるわ!」
ポッとパンジーは頬をピンクに染めてドラコを見つめた。ふふん、とドラコは尊敬の眼差しを向けてくれるパンジーに気分が幾分か優れるのがわかった。
(思えば今までが異常だったんだ、あいつはポッターの情報は吐かない上に生意気だった。ぼくから情報を取ろうと近寄ってきたこともそうだ、あいつはただ手際がいいだけのポッターの用心棒だ)
乾燥した芋のようなものを切り終えると、ドラコはそれを鍋の中に入れ、長い木のスプーンでかき混ぜた。色が変わり始め、あと数分も煮込めば完成だろうとドラコは息をついた。
チラリとミラの方を盗み見ると、ミラたちは試験管に丁度できた魔法薬を入れてスネイプ先生に提出するところだった。いつもなら自分たちが1番にスネイプ先生に提出して褒められていたはずなのに、自分たちの魔法薬はまだ出来上がっていないばかりか、隣で話しかけてくるパンジーの話に相槌を打って聞いているふりをしていた。
全くこっちを気にする様子もないミラに、ドラコは煮える鍋に視線を戻してかき混ぜた。